自然・文化・ヨーロッパの世界的拡張西洋近代の自然観は世界の自然環境と文化をいかに支配してきたか。“環境”を軸に、帝国主義の問題に対する新しい視点を提供する。

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タイトル
環境と人間の歴史
サブタイトル
自然、文化、ヨーロッパの世界的拡張
著者・編者・訳者
D・アーノルド著
 
飯島昇藏・川島耕司訳
発行年月日
1999年 6月 30日
定価
3,024円
ISBN
ISBN4-7948-0458-X 
判型
四六判上製
頁数
260ページ

内 容

【自然・文化・ヨーロッパの世界的拡張】西洋近代の自然観は世界の自然環境と文化をいかに支配してきたか。“環境”を軸に、帝国主義の問題に対する新しい視点を提供する。
 本書は、歴史学者である著者が、哲学や地理学などもみすえつつ、いかにすれば環境の問題を歴史学のなかに取り込むことができるかという問題を、自然と社会に関するさまざまな理論や具体的な事象を取り扱いつつ論じたものである。著者の関心は、特に14世紀の黒死病から地理的発見の時代を経て20世紀の初頭に至るまでの時代、つまりヨーロッパが世界的に拡張していった時代である。この広い意味での帝国主義の時代において人間と自然とはどのような形で相互に作用し合っていったのか、あるいはこの過程において、自然と社会に関するいかなる観念が生みだされ、それは人びとの世界観やアイデンティティの形成にどのように影響を与えたのかといった問題が本書では論じられている。
 著者は、モンテスキュー、ダーウィン、マルサス、トインビー、あるいはフランスのアナール学派などの理論や学説、さらにはアメリカの「フロンティア論」、疫病とヨーロッパの世界的拡張、風景とアイデンティティ、「熱帯性」とオリエンタリズム的な意味における「他者性」、植民地主義と自然といった問題を批判的に検討する。そしてそうするなかで、対象となる約500年の歴史において、自然環境そのものと人間の自然観の両方がいかに大きく変わってきたかを明らかにするとともに、さまざまな社会の間の差異を説明するに察して、環境的、あるいは地理学的な決定論がいかに重要な役割を果たしてきたか、さらにはそうした決定論がしばしばヨーロッパの帝国主義、奴隷制、人種主義をいかに都合よく正当化するものになりがちであったかを明快に論じている。
 本書は、歴史学だけでなく、哲学、地理学、人類学といった関連する諸分野がいかに環境というテーマを扱いうるかという問題を追求した重要な貢献であるとともに、帝国主義の問題に対する新しい視点を提供する論考でもある。専門的な内容を扱いながらも、文体は極めて明快であり、一般の読者にも刺激的な一冊である。また、環境問題、エコロジー、あるいは科学技術と人間といったテーマに関心がある読者にも読まれるべき著作である。
(かわしま・こうじ 政治学)

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