自由の気風と民主主義の精神を育む独自の教育制度を詳説した草分けの書、体験記とインタビューを加えた待望の最新改訂版

978-4-7948-1270-4

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自由の気風と民主主義の精神を育む独自の教育制度を詳説した草分けの書、体験記とインタビューを加えた待望の最新改訂版

関連ワード
[改訂2版]生のための学校
タイトル
サブタイトル
デンマークで生まれたフリースクール「フォルケホイスコーレ」の世界
著者・編者・訳者
清水満編著
発行年月日
2024年 7月 25日
定価
3,300円
ISBN
ISBN978-4-7948-1270-4 C0037
判型
四六判並製
頁数
396ページ

著者・編者・訳者紹介

編著者-清水満(しみず・みつる)
1955年生まれ。九州大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。「日本グルントヴィ協会」の幹事。
著書に『共感する心、表現する身体』ほか、訳書に『政治思想家としてのグルントヴィ』『生のための授業』(共に新評論)などがある。

内容

 本書の初版『デンマークに生まれた「フォルケホイスコーレ」の世界』は1993年に刊行され、96年には改訂にあたり『生のための学校』と改題された。ありがたいことに、現在に至るまで多くの読者に支持され、版を重ねてきた。編著者としては、出版社から品切れの報せが入るたび、「データも古いので絶版に」と答えてきたが、担当者はいつも「いずれは再版を」と言ってくれた。とても名誉なことである。
 初版刊行時は、評価・試験なし、民主主義的思考の育成、「生きた言葉む」よる対話と知的探究心の重視、全寮制による学住一体などから成る独自の教育システムが、日本に広く周知されることを喜んだ。「ゆとり教育」などに若干の影響を与えたようだが、その後、日本の教育行政は「脱ゆとり」を掲げ、逆戻りしてしまった。また、フォルケホイスコーレの意義の一つは民主主義社会を支える市民の教育にあるが、日本では官製の生涯学習がさらに強化されており、市民の自発性が弱まっているように見える。本書の社会的使命はまだ終わっていないと再認識した。
 改訂の中身としては、フォルケホイスコーレの成り立ちやその理念的始祖であるグルントヴィについて紹介した第1部は、歴史的な記述が多いのでほぼそのままとし、学校数などのデータを更新するに留めた。大きく変わったのは第2部で、新たに二人の日本人留学生の体験記と、リュ・ホイスコーレの前校長オレ・トフトデルへのインタビューを加えた。この第2部を読めば、フォルケホイスコーレで重視される「生きた言葉」がつなぐ共同性や、実地に学んだ人が体験するいわく言いがたい「空気」のようなものが感じとれるだろう。
 本書を通じて、この民衆教育運動がつくり出したデンマークの市民社会のあり方に触れ、ひるがえって日本の現状を考える人、実際に現地に留学してその「空気」を味わい、その経験を明日の活動につなげる人が増えたなら、この改訂2版は大きな社会的役割を果たしたことになるだろう。
しみず・みつる

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