「民族性」と「西欧化」の狭間で葛藤する人々の生を描いたブラック・アフリカ長編詩

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タイトル
ラウィノの歌 オチョルの歌
著者・編者・訳者
オコト・ビテック著
 
北村美都穂訳
発行年月日
2000年 2月 15日
定価
2,700円
ISBN
ISBN4-7948-0476-8 
判型
四六判上製
頁数
228ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-オコト・ビテック(Okoro p'Bitek)/1931年、ウガンダ生れ。教師生活ののち、1962年オクスフォード大学に留学、帰国後はマケレレ大学、ケニアのナイロビ大学でアフリカの伝統文化の研究と著作活動。1982年、51歳で死去。

内 容

 英国による植民地統治下、白人かぶれの「もう一人の妻」に夫の愛を奪われた黒人女性ラウィノの憤りと、部族の因襲を引きずって対立する「男」たちの政治を叫弾する、叩きつける響きの長編詩「ラウィノの歌」、そしてこれに反論するかたちをとって、伝統的社会からの脱皮しきれない焦りと、真の自由とは、解放とはを問いかけた「オチョルの歌」、いずれもオコト・ビテックの代表作二篇の本邦初訳である。

  ……
 オチョルは拒む 旧式なものを。
 オチョルは愛しあっている、新しい女と、
 英語を話す女と。
  ……
 わたしはルンバは踊れない
 母さんはわたしに教えてくれた
 アチョリの美しい踊りを。

 ウガンダの少数民族アチョリの出自をもつ詩人オコト・ビテックは、オクスフォード大学に留学して、文化人類学の教授の口から、“野蛮人”“原始人”という言葉の連発に反発して、母国ウガンダの伝統文化の研究と、独立と人間開放を求める運動へと傾斜を強めていく。

  ……
 絞首台に送ろう
 すべての人類学の教授を
 アフリカ史の教師を
 収容所送りにしろ
 すべての伝道家たちを。
  ……

 ここに綴られた魂の叫びは、混迷するアフリカの現在と重なって、われわれの胸を鋭く刺す。英国による政治・経済・文化にわたる支配状況下、受容と反発をめぐる対立と苦悩、「民族性」と「西欧化」のはざまで葛藤する人たちの生きざまが見事に描かれているからであろう。「ラウィノの歌」は1966年、ケニアで出版され、その鮮烈な言葉の詩句は衝撃となって知識人、学生に受け入れられた。51歳の若さでこの世を去った「アチョリ人の遺書」である。 (きたむら・みずほ)

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