介護問題と背中合わせにある家庭内・施設内虐待の実態に迫る

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タイトル
高齢者虐待
著者・編者・訳者
いのうえせつこ著
発行年月日
1999年 9月 30日
定価
1,944円
ISBN
ISBN4-7948-0465-2 
判型
四六判並製
頁数
220ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-いのうえせつこ/1939年生まれ。フリーライター。
女性の視点で取材、執筆・講演活動。民事調停委員。
著書に『女子挺身隊の記録』『売春する男たち』
『敗戦秘史 占領軍慰安所』『増補版 新興宗教ブームと女性』(以上新評論)、
『結婚が変わる』(谷沢書房)等々。

内 容

 「高齢者虐待」について私が関心を持ったきっかけは、一九九八年九月にシンガポールで開かれた「家庭暴力世界会議」への参加だった。「子ども虐待」「女性への暴力」そして「高齢者虐待」をなくすための国際会議で、日本からの高齢者虐待のレポートは参加者の注目を浴びた。いわゆる私たち“長男の嫁”と呼んでいる息子の配偶者が老親の介護にかかわり、その果てに高齢者への虐待を多く生んでいるという報告に、各国の参加者たちから「なぜ、義理の娘が介護をするのか」「息子は介護をしないのか」等々の質問が相ついだのである。
 日本の高齢者の介護が「嫁・妻・娘」の女性たちのよって家庭内で多く担われるという図式が、欧米の人たちから見れば???だったのだろう。
 帰国後、私は次の事実を知った。「身のまわりの世話の放棄」や要介護者を無視するなどの「精神的虐待」は、“嫁・妻・娘”たちに多いが、「身体的虐待」の約七割は息子であること、そして介護の果てに“殺人”をおかすのは九割以上が男性で、その多くは同居の息子であるということである。
 なぜ、なのだろうか。
 確かに出口の見えない高齢者介護は精神的ストレスを生み、介護者もまた高齢者となれば“老老介護”は介護疲れや看病疲れを併発させ高齢者虐待へと発展する。
 この著では、平均月に一件は起きていると言われる介護の果ての「承諾殺人」を追いながら、日本の親と子の関係や家族問題がどのようにして高齢者虐待へとつながるかの「介護と虐待は背中合わせ」の問題、そして労働強化などが施設内の高齢者虐待へと結びつく「施設内虐待とオンブズマン」の問題、等々をとりあげてみた。
 私にとっては知らない世界だっただけに、新鮮な驚きと、また私自身の問題でもあると覚悟させられた取材だった。
 人はだれもが高齢者となり、心身共に衰えて死を迎える。その人生の最後のときまで人間としての尊厳を持って生きていくためには「高齢者虐待」の問題を避けて通ることはできないと思う。
(いのうえ・せつこ)

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