軍事活動が人間以外の動物にもたらす知られざる暴虐の世界。
その歴史と現在に目を向け、平和思想の根底にあった人間中心主義を問いなおす。

978-4-7948-1021-2

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軍事活動が人間以外の動物にもたらす知られざる暴虐の世界。
その歴史と現在に目を向け、平和思想の根底にあった人間中心主義を問いなおす。

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タイトル
動物と戦争
サブタイトル
真の非暴力へ、《軍事―動物産業》複合体に立ち向かう
著者・編者・訳者
A.J・ノチェッラ二世/C・ソルター/J.K.C・ベントリー編
 
井上太一訳
発行年月日
2015年 10月 23日
定価
3,024円
ISBN
ISBN978-4-7948-1021-2 C0036
判型
四六判上製
頁数
308ページ

著者・編者・訳者紹介

編者
-Anthony J. NOCELLA Ⅱ-米・ハムライン大学客員教授を務める動物擁護・平和活動家。広く領域横断研究に携わる。
-Colin SALTER-豪・ウーロンゴン大学教育設計担当。動物・環境・社会正義運動を研究。
-Judy K.C. BENTLEY-ニューヨーク州立大学准教授。専門テーマは差別撤廃、障害克服、批判的動物研究。

内容

 戦後70年を経た日本が軍国化へと退行しつつある現状は、平和をこいねがう人々にとって愕然とすべき事態であるに違いない。戦後世代を導いたものは、原爆と空襲の記憶でも、沖縄やシベリアの経験でも、日本の戦争責任の反省でもなく、抑止論すなわち「恐怖の均衡」の論理だった。かくして、戦地に赴く自衛隊員の犠牲や、敵方の報復攻撃を受ける日本の民間人の犠牲、あるいはごく稀に他国人の犠牲を憂慮する声が、今や方々に飛び交うようになった。
 ところで、そうした言論の中、完全に抜け落ちている視点がないだろうか――人間以外の生きものを気づかう視点が。「何、動植物? 多くの人命が危ぶまれている時にか」と、人はそう言うかもしれない。我々は人間中心の思考に慣れ過ぎているので、この反応も驚くには当たらない。しかし、命に上下を設けるのは抑圧者の発想ではないだろうか。苦しむ者に等しく手を差し伸べる献身、それが平和主義の原点であるとするならば、「動物なんか」と考える人は平和の理念から最も遠ざかっている。反戦・平和をめざす個々の活動の幅には無論、限界があるが、それにしても、ある集団の犠牲者が(同じ戦争の被害を受けるというのに)意識にすら上らないでいいのだろうか。自国民のことしか考えない平和論が偏狭であるのと同様、人間以外の生きものを考えない平和論もやはり偏狭であると思う。無視と黙認は、時に最大の暴力になる。
 本書は平和学と動物福祉に携わる海外気鋭の活動家、研究者らが、人間以外の生きもの、特に動物に焦点を当て、その戦争被害を様々な角度から照らし出した画期作である。ここに紹介されている事例も世界を覆う暴力の一片鱗に過ぎないことは言うまでもないが、この著作を通して、日本の平和論がより大きな視座に至り、前進を遂げることを願ってやまない。
(いのうえ・たいち 翻訳家)

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