「知識は力なり」?デンマークを徹底解剖する画期的文化論!

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タイトル
生者の国
サブタイトル
デンマークに学ぶ全員参加の社会
著者・編者・訳者
スティーヴン・ボーリシュ著
 
難波克彰監修・福井信子監訳
発行年月日
2011年 6月 20日
定価
5,400円
ISBN
ISBN978-4-7948-0874-5 
判型
A5判並製
頁数
528ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-Steven M. BORISH(スティーヴン・ボーリシュ)-1943年生まれ。
1982年、人類学の博士論文をスタンフォード大学に提出。専門は教育の比較文化論的研究。
監修-難波克彰(なんば・かつあき)-東海大学総合教育センター教授、現代文明論研究センター主任。
デンマークのフォルケホイスコーレ、グルントヴィの研究に従事。

内 容

 本書の編集作業が佳境に入った3月、東日本を巨大地震が襲った。今後の復旧・復興がどうなるのかと、当事者でもない私が思案していた時、ふと思い出して『吉里吉里人』(井上ひさし・1981年)を読み直すことにした。その理由は、もちろん復興に向けて参考になると思ったからである。当時は「売れているSF小説」といった程度の読み方しかしていなかったため、正直に言えば咀嚼しきれなかった。しかし、改めて読んでびっくりした。何と、本書でも紹介されているコペンハーゲンの特別自治区である「クリスチャニア」に関する記載があったのだ。当時は、クリスチャニアどころかデンマークのことすら日本人にはあまり知られていない時代である。井上氏の博識ぶりには敬服するばかりである。
 さて、そのデンマークといえば、現在は福祉国家、原発のない環境・エネルギー先進国、そして民主主義の質が世界で一番高い国として有名である。本書は、アメリカの社会学者・人類学者であるボーリシュが職業的関心からデンマークに実地調査に出掛け、フォルケホイスコーレ(民衆大学)において1年間を過ごす中でこの国の近代化の歴史についての知見を深め、国づくりにおいてはこの国の歴史から学ぶべきことがあるという確信に至った経緯を著したものである。
 デンマーク人のどのような特性が、政治的抑圧や社会的暴力とは無縁のまま近代化を達成することにつながったのか―著者のこの関心を軸に、話題は18世紀後半の農地改革の経緯から、国民的詩人・歴史家でありフォルケホイスコーレの創始者でもあるグルントヴィの生涯、そして19世紀半ばのフォルケホイスコーレ誕生の時代へと展開していく。また後半では、デンマーク人の価値観や資質、現在のようなデンマーク社会がつくられた歴史的背景、さらにその発展に寄与したグルントヴィの役割が紹介されている。
 『吉里吉里人』と違って小説ではないが、著者はまるで物語のように筆を走らせている。特に、デンマーク人の知識力、そして地に足をつけた生き方に魅了されたことを記述するくだりでは、最先進国であるアメリカの人とは思えない文章表現を展開している。「地域づくり」が叫ばれている今日の日本が、本書から学ぶところは多い。
(監訳者 福井 信子)

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