「森のダイヤモンド」と呼ばれるカヤの木を素材に最高品質の「盤」を生み出す職人と、その匠を支えるまちの姿に迫る記録

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「森のダイヤモンド」と呼ばれるカヤの木を素材に最高品質の「盤」を生み出す職人と、その匠を支えるまちの姿に迫る記録

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かやに魅せられて 宮崎県綾町に生きる「現代の名工」熊須健一
タイトル
サブタイトル
宮崎県綾町に生きる「現代の名工」熊須健一
著者・編者・訳者
黒葛原伸吉編著
発行年月日
2026年 5月 27日
定価
2,420円
ISBN
ISBN978-4-7948-1312-1 C0072
判型
四六判並製
頁数
オールカラー224ページ

著者・編者・訳者紹介

編著者 黒葛原伸吉(つづらばら・しんきち)
1946年、宮崎県東諸県郡綾町生まれ。
東京電機大学電子工学科(Ⅱ部)卒業後、スタンレー電気技術研究部入社。桐朋学園女子部に転職し、2007年に定年退職後、日本テクノ協力会・日電協の電気管理技術者として従事(現職)。

内容

 みなさんは、碁や将棋の「名人戦」などで使われる碁盤・将棋盤が何の木からつくられているのかご存じだろうか。「かや」というイチイ科の常緑針葉樹である。日本では宮城県以西に分布するが、そのなかでも宮崎県産の榧は弾力性や色合いが盤の材料としてもっとも理想的とされ、「日向榧」として珍重される。そしてそのほとんどが県中央部に位置する綾町あやちょうの森林から採取されており、綾町の日向榧はその質の高さから「森のダイヤモンド」とも称される。
 総面積の八〇パーセントを森林が占める綾町では、樹齢八〇〇年にも及ぶ榧の古木も見つかっている。ということは、綾町と榧の関係は太古の昔から続いているのではないかと想像できる。そんな綾町で生まれ育ち、五〇年以上も碁盤・将棋盤をつくり続けている「盤師ばんし」の熊須健一氏が本書の主人公である。
 綾町は「観光」に偏ることなく、「自然生態系農業」によるまちおこしを行ったことで、エコロジーへの関心が高い移住者を惹きつけている。また、毎年多くのアスリートが合宿に訪れる地としても知られる(その理由を知ると驚かれる向きも多いだろう)。だが実はそれらに劣らずこのまちを深く特徴づけているのが、「こだわり」をもって盤づくりを行う「盤師」の哲学である。熊須氏は盤をつくる際、樹齢三〇〇年以上の榧を使うが、まずは最低でも五年間は乾燥させる必要があるという。かつて周囲から「お前そんなもんつくっていて、飯は食っていけるのか?」と言われたという熊須氏は、自らの職人としての姿勢をこう語る。「まだまだ。まだまだ。人の追随を許さないぐらいいかないかんわ。人の真似できんようなものづくりをせんと。せっかくの手仕事が何もならん。機械に負けたりするのもいかん。何もならんわ、負けちょっちゃ。手仕事が無駄になるわ」。
 本書では、全編カラーの豊富な写真とともに「盤づくり」の全工程を紹介していくことになるが、職人の「凄み」や自然環境への「配慮」を知れば、綾町が「碁・将棋の聖地」であることが実感できるはずだ。
(編集部)

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