国家間の関係だけを問題にしてきた従来の国際学、正解だけを求める学校型の教育⋯。若い読者と共に、もう一つの「学び」の世界を創りだす。

978-4-7948-0999-5

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国家間の関係だけを問題にしてきた従来の国際学、正解だけを求める学校型の教育…。
若い読者と共に、もう一つの「学び」の世界を創りだす。

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タイトル
私たちの国際学の「学び」
サブタイトル
大切なのは「正しい答え」ではない
著者・編者・訳者
奥田孝晴・椎野信雄編
発行年月日
2015年 2月 24日
定価
1,944円
ISBN
ISBN978-4-7948-0999-5 C0036
判型
四六判並製
頁数
264ページ

著者・編者・訳者紹介

執筆者(共に文教大学国際学部教員、太字は編者)-
井上由佳 奥田孝晴 海津ゆりえ 小島克己 椎野信雄 塩澤泰子 鈴木正明 高井典子 林薫 黛陽子 本浜秀彦 山田修嗣 山脇千賀子 渡邊暁子

内容

 ヒト・モノ・カネ・情報が国境を越えて移動するグローバリゼーションの時代において、このような時代だからこそ、若い読者の方々と共に、あらためて「国際学」とは何か、「学び」とは何か、さらには「国際社会」とはどのようなものかを、人と人、人とモノとの関係性を軸に、問い直してみる本を編むことにしました。今日よく語られている華やかなイメージの、未来志向の国際社会だけでなく、暴力や不公正のはびこる国際社会についてもしっかりとしたイメージを持ち、主権国家・国民国家を構成単位とするこれまでの国際社会のあり方までをも問う柔軟な思考感覚を身につけることが、今まさに、この日本においては、大切なことだと判断したからです。本書では、国家と国家の関係だけを問題としてきた従来の国際学という学問を問い直します。
 本書の第一の目的は、こうした「問い直し」を通して「学び」の意味を発見していくことにあります。この「学び」の意味は、いわゆる学校型の勉強(教科に分断された、正解のある問題の学習)の反復ではなく、自分の人生観や世界観と関わる「生きた問い」とも「命のある問い」とも言える問いのあり方について、(一つの正解を求めるのではなく)考え続ける姿勢を養うところにこそ見出されるものです。それは、一人ひとりが独自に身につける学びであると同時に、自分一人のためだけでなく、他者に開かれた学びであり、他者との交流を通して達成される学びです。また、世界の人々と共に生きるための学びであり、ありふれた普段の暮らしとも決して切り離してはならない学びです。さらには、地球の未来の人々と共に生きる学びであり、地球の未来が存立するための実践知としての学びです。
 「学び」のプロセスを、つまり「正解」「不正解」が問題ではなく、その解を導きだす以前に、何かを学ぼうとする際の、あるいは何かを考えようとする際の思考のプロセスそのものを、既に当たり前のこととして大前提に置いてしまっている思考法とは異なる視線で、若い読者のみなさんと共に考え合う本を目指しました。高校・大学の教員の方々にも、是非、手に取って頂ければ幸いです。
(編者 椎野信雄、文教大学国際学部教員)

目次

はじめに―若い読者の方々へ 奥 田 孝 晴     1


1 コンビニから見える世界のありよう 1
2 「国際化」のイメージ 2
3 これまでの「勉強」と私たちが考える国際学の「学び」 5
4 「関わり・交わり・つながりの学」 8
5 「私とあなたの関係」から「私たちの関係」を作っていく 10
6 「鍋料理」のような私たちの国際学の「学び」 14

第1章 旅する世界 海津ゆりえ 本 浜 秀 彦     29


1 旅とは何か 29
 あなたにとっての旅とは/「旅」を読む―書かれた旅
2 人はどんな旅をしてきたのか 35
 信仰の旅、戦争の旅、交易の旅/旅から観光へ
3 人はなぜ旅をするのか 39
 「ハワイ」からの視点/私たちの国際学の「学び」の座標/太平洋から日本を観る
4 グローバル化時代に旅すること 46

第2章 「第三世界」の「彼(女)ら」と「私」と「私たち」 林 薫 渡 邉 暁 子     50


1 「第三世界」という世界観 50
 豊かさと貧しさ(なぜ所得が問題なのか?)/所得における貧富の格差
 なぜ貧しい国では教育の水準が低いのか?/なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか?
2 「第三世界の終焉」 60
 変化する国際秩序にどう対応するのか/持続可能な世界秩序をどのように形づくるのか
 「彼(女)ら」と「私」はどうつながっているのか
 「彼(女)ら」と「私」から、同じ時代を共に生きる「私たち」へ

第3章 環境問題とグローバリゼーション―自然環境が映し出すもの 山 田 修 嗣 黛 陽子     73


1 変わりゆく地球環境 73
2 環境問題とはどのような問題か 74
 問題を捉える想像力/学生・生徒の環境問題イメージ/環境問題への関わり方
 環境に対する意識と行動/環境問題を扱う難しさ―学びの奥深さと面白さ
3 環境問題の事例 79
 考察における限界/事例1:風力発電をめぐる賛否/事例2:地球温暖化と人間活動
 事例3:森林伐採と作物栽培/事例4:生活環境・歴史的環境
4 環境問題解決のステップ 83
 環境協力行動/解決例1:自然エネルギー導入と市民共同発電所
 解決例2:世界市民会議―政策決定と市民の声の聴取
 解決例3:フェアトレード―環境認証の仕組み/解決例4:伝統的建築群とTMO活動
5 問題解決のヒント 90
6 共感と行動 92

第4章 国際観光の光と影 髙 井 典 子 海津ゆりえ 小 島 克 巳     95


1 私たちの国際学の「学び」から見る国際観光 95
2 「産業」としての国際観光 96
 観光産業の実態/観光の経済効果
 途上国における観光産業の意義/なぜ今、観光立国日本なのか?
3 観光産業が落とす影、観光産業に落とされる影 102
 環境問題/文化・社会問題/地域内格差の問題/観光産業の脆弱性
4 それでも観光は止まらない…だから 108
 持続可能な観光/コミュニティ・ベースド・ツーリズム
 国と国との関係を超えて人と人が交わる場としての国際観光の望み

第5章 企業の多国籍化と地球市民社会 鈴 木 正 明 奥 田 孝 晴     114


1 暮らしを取り巻く多国籍企業 114
2 企業の多国籍化はどこまで進んだのか―その現状と問題点 115
 「多国籍化する」とはどういうことなのだろうか?/多国籍企業の大きな規模と強い影響力
 企業はなぜ多国籍化するのだろうか?/企業の多国籍化を促進する動き/多国籍企業が引き起こす問題
3 途上国と多国籍企業―「企業の社会的責任(CSR)」を考える 122
 「企業の社会的責任(CSR)」とは?/公正・倫理の問題:スウェット・ショップの事例から
 社会的課題の解決:BOPビジネスの事例から
4 地球市民と多国籍企業との関わり 131

第6章 グローカリゼーションを考える 海津ゆりえ 渡 邉 暁 子     134


1 「グローバリゼーション」のもとでの地域社会 134
 都市化する途上国の姿/貧困から経済成長へ―フィリピンの都市と農村で起きていること
2 自立のための小さな融資―地域の経済活動 138
 マイクロクレジットとマイクロファイナンス/フィリピンのマイクロファイナンス
3 日本の地域社会―高度経済成長以降 143
 減少する自治体/地域社会の変容/高度経済成長とコミュニティの空洞化
4 ローカリゼーション運動―地域社会再生の動き 149
5 グローカリゼーションの時代へ 152

第7章 多文化社会を生きる「私」 山脇千賀子 井 上 由 佳     155


1 「均質性の高い日本人」? 155
2 エキゾチックな他県民―隣の日本人は異文化人? 157
3 日本におけるエスニック・タウン 160
4 自分そして自分の文化と向き合う方法―歴史博物館の活用 166
5 隠れている現実への気づき 169
6 内なる異文化と出会うために 173

第8章 つながるためのコミュニケーション―ことば/世界観/私とあなた 塩 沢 泰 子 山脇千賀子     176


1 そもそもコミュニケーションとは何? 176
2 コミュニケーションは何によって構成されているのか 179
3 文化、状況、関係性の中にあるコミュニケーション 182
4 ことばの身体性と演技 186
5 ことばと世界観の関係 190
6 母語以外のことばを学ぶこと 192
7 私とあなた―自分が何者なのかを知るということ 195

第9章 「豊かさ」について考えること―福島からの目線、沖縄への視点 奥 田 孝 晴 本 浜 秀 彦     197


1 「福島の悲劇」 197
2 沖縄・「戦場の記憶」から 200
3 戦後の沖縄とヤマト国家 203
4 「豊かさ」の問い直し―新自由主義について 205
5 「豊かさ」のことをアダム・スミスに戻って考えてみる 207
6 「負の公共性」を乗り越える 209
7 共に作り上げる「真に豊かな私たちの世界」へ 212

第10章 パスポートから見た国際社会―地球市民社会に向けた国際社会へ 216


1 「海外旅行」の必需品 216
2 パスポートとは何か 221
3 「国籍」身分証明書としてのパスポートの歴史 227
4 パスポートなき地球市民社会に向けて 231

おわりに     239
執筆者紹介     262

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