「われわれの時代の問題によりよく対処するために」。アナル学派の重鎮が日常史研究の経験を生かして従来の分析を一新

978-4-7948-0971-1

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「われわれの時代の問題によりよく対処するために」。アナル学派の重鎮が日常史研究の経験を生かして従来の分析を一新

関連ワード
戦争を指導した七人の男たち
タイトル
サブタイトル
並行する歴史
著者・編者・訳者
マルク・フェロー著
 
小野潮訳
発行年月日
2015年 12月 15日
定価
6,050円
ISBN
ISBN978-4-7948-0971-1 C0020
判型
四六判上製
頁数
558ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-Marc FERRO(マルク・フェロー)
1924年生まれ。
ロシア史、映画史を中心とし、広い題材を扱う著述を多くものする。
雑誌『アナル』の共同主宰者、社会科学高等研究院の研究指導者。
邦訳に『新しい世界史』『監視下の歴史』(既刊)、『植民地の歴史』(近刊)ほか。

内容

 歴史上最大の戦争である第二次大戦も遠い記憶になりつつある。現在、自らの経験としてこの大戦を記憶しているのはよほど齢を重ねた人々のみであり、まもなくそうした人々も姿を消してしまう。だが凄まじい破壊力を備えた兵器を人類が手にしている現在、この大戦を理解することの重要性はいくら強調しても強調し過ぎることはない。だが大戦を理解するとはどのようなことなのだろう。その経験の悲惨さを理解することなのか、その原因・結果を論理的に理解することなのか。戦争の現場で何が起きていたか知ることなのか、あるいは巨視的に戦争の経過を俯瞰することなのか。本書『戦争を指導した七人の男たち』(原著2007年刊)は、大戦を指導した七人の人物(ローズヴェルト、チャーチル、スターリン、ド・ゴール、ヒトラー、ムッソリーニ、昭和天皇)と中国の蔣介石を核に、第二次大戦の推移を、彼らが戦争遂行に当たってどのような思考をおこない、どのように相手側の意向を読み合い、あるいは勘違いし合い、どのような決断をおこない、どのような結果を招いたかを中心に描き出したものである。しかし、本書の著書マルク・フェローは、人々が生きる日常生活についての記述を重んじたアナル学派の第三世代に属しており、歴史が重要人物たちの行動のみに還元されるとは考えていない。彼はテレビ局アルテ(フランス)で「並行する歴史」という番組を主宰し、大戦中に各国で撮られた膨大な映画フィルムを番組制作のために視聴し、また各国の歴史家ジャーナリストを招いてインタビューをおこない、指導者たちの動きの背景も生き生きと捉えている。大戦の経過を地球大で追いつつ、時々の各国の雰囲気をも伝える立体的な記述がなされている本書によって、読者は新たな大戦像から発せられた今日の国際世界へのメッセージをくっきりと読みとることができるだろう。
(おの・うしお 近代フランス文学)

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