深い被災の中から立ち上がろうとする人びとと語り合い、新たな世界を共に創るために。「3.11後の現場」からの報告、緊急出版!

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関連ワード
東日本大震災と地域産業復興 Ⅰ
タイトル
サブタイトル
2011.3.11〜10.1 人びとの「現場」から
著者・編者・訳者
関満博著
発行年月日
2011年 12月 7日
定価
3,080円
ISBN
ISBN978-4-7948-0887-5 
判型
A5判上製
頁数
296ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-関満博(せき・みつひろ)-
1948年生まれ。
明星大学経済学部教授、一橋大学名誉教授。博士(経済学)。
岩手県および同県宮古市、北上市、宮城県気仙沼市など東日本各地の産業復興にアドバイザーとして携わる。
『「農」と「食」の農商工連携』『中山間地域の「自立」と農商工連携』など編著書多数。

内 容

 2011年3月11日午後2時46分、東北地方太平洋沖地震が起こり、その直後の巨大津波により、東日本の沿岸地域は壊滅的な打撃を受けた。私自身、その時、岩手県釜石市の湾岸に近いホテルの2階にいて被災した。現実のこととは思えなかった。三陸の沿岸地域は東北地方の中でも条件不利地域の典型とされていた。そのような事情の中で、地元に暮らす人びとは必死に地域資源である水産物に焦点を当て、養殖業、水産加工業に勤しんでいた。また、必死の思いで誘致した企業を大事にし、工場のアジア、中国移管が進む中で、国内に残りうるあり方を模索していた。被災のほぼ1カ月後の4月16日から私は現地に入る。茨城県日立、ひたちなかから始め、岩手県沿岸地域、宮城県気仙沼、福島県浪江に入っていった。中小企業の経営者と会い続けたが、いずれも深い悲しみを胸に秘めながらも、復旧、復興への志と希望を語ってくれた。中小企業は地域の有力な市民であり、人びとの雇用の場を作り、暮らしを支え、地域を活性化させていく担い手なのであろう。また、三陸のリアス式海岸に連なる小さな入り江では丁寧な仕事が行われ、あの素敵な「三陸モノ」が生み出されていた。その人びとの思いの重なりから、新たな価値が創造されていた。それは、大量生産、大量流通、大量消費、大量廃棄を目指した「20世紀後半型経済発展モデル」とは異質な、成熟した社会のあり方のようにもみえた。成熟社会、高齢社会、人口減少社会への入口に立っている私たちは、深い被災の中から立ち上がろうとしている人びとから学ぶところは多い。私たちはその人びとに寄り添いながら、共に新たなあり方を模索していかなくてはならない。被災に心を痛めている人びとは、被災の現場を訪れ、立ち上がろうとしている人びとと交流し、語りあっていくことが何よりであろう。そこから私たちはむしろ新たな「勇気」をもらうことになろう。本書はその学びと交流のための第一歩として、地域産業、中小企業の復旧、復興を意識しつつ、震災発生後半年間の現場訪問をまとめたものである。
(著者 関 満博)

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