喧伝される「アベノミクス+地方創生」「地方消滅」論をよそに、農・食・モノづくりの領域で生じている新たな動きに目を凝らす。

978-4-7948-1012-0

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喧伝される「アベノミクス+地方創生」「地方消滅」論をよそに、農・食・モノづくりの領域で生じている新たな動きに目を凝らす。

関連ワード
地域産業の「現場」を行く 第8集 「地方消滅」を超えて
タイトル
サブタイトル
誇りと希望と勇気の30話
著者・編者・訳者
関満博著
発行年月日
2015年 7月 31日
定価
2,640円
ISBN
ISBN978-4-7948-1012-0 C3033
判型
四六判並製
頁数
264ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-関満博(せき・みつひろ)-
1948年生まれ。
明星大学経済学部教授、一橋大学名誉教授。博士(経済学)。
東日本各地の震災復興・産業再生にアドバイザーとして携わる。
本シリーズのほか、『東日本大震災と地域産業復興Ⅰ〜Ⅳ』『鹿児島地域産業の未来』『震災復興と地域産業1〜6』(編著)など。

内容

二〇一四年、「地方消滅」論が登場し、人口減少・高齢化に悩む「地方」ばかりでなく全国に大きな衝撃を与えた。日本の多くの地方では、すでに八〇年代中頃から人口減少と高齢化が目立ち始め、特に二〇〇〇年代に入ってから加速化していた。近年は五年で一〇%前後の人口減少率を示している地域も少なくない。「地方消滅」論は、そのような人口減少の行く末を深く痛感させるものであった。
いまや、私たちは人口減少・高齢化をむしろ歴史的な流れとして受け止め、それを和らげながら、それでも「豊か」で「安心、安全」を実感できるあり方を模索していくことが求められている。それは、従来型の「経済成長至上主義」とは異なった道なのであろう。また、二〇一四年に入ってから円安が急速に進み、一部の輸出型大企業は空前の好業績に沸いているが、縮小する地方ではそれは全く別世界のことのように映っている。中山間地域では、身近な商店街の中で最後に残った食料品店までもが閉鎖され、クルマの運転ができない高齢者は食料調達にも事欠いている。TVに映し出される都会の喧騒と、地方の差し迫った状況が混在している。
バブル経済崩壊から四半世紀が経ち、この間、アジアおよび中国の躍進、そして国内における急角度な高齢化、地方における人口激減など、日本をめぐる基礎的条件は大きく変わってきたが、地方では雌伏の四半世紀の中で多くの興味深い取り組みが重ねられている。それは大幅に後退を余儀なくされたモノづくり系産業ばかりでなく、戦後高度経済成長期の中で後景に置かれていた農林水産業関連、とりわけ「食」の領域で著しい。また中山間地域においても、ここに来て興味深い新たな動きが生じ始めている。
今後、人口減少・高齢化はさらに進むであろうが、それでも私たちは「豊かで安心、安全」な地域社会を形成していくための取り組みを重ねていかなくてはならない。その際、地域社会の安定にとりわけ重要なのが、「地域産業」のあり方である。本書では、その新たな「兆し」というべきものを、地域産業の「現場」から報告していく。
(せき・みつひろ)

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