未曾有の被害をもたらした東日本大震災から1年。地域産業・中小企業の再興に焦点を当てつつ東日本の復旧・復興の現状と課題を探る3部作の第1弾!

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震災復興と地域産業1
タイトル
サブタイトル
東日本大震災の「現場」から立ち上がる
著者・編者・訳者
関満博編
発行年月日
2012年 3月 7日
定価
2,200円
ISBN
ISBN978-4-7948-0895-0 
判型
四六判並製
頁数
244ページ

著者・編者・訳者紹介

編者-関満博(せき・みつひろ)-
1948年富山県小矢部市生まれ。
1976年 成城大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。現在、明星大学経済学部教授、一橋大学名誉教授。博士(経済学)。
岩手県東日本大震災津波からの復興に係る専門委員、宮城県気仙沼市震災復興会議委員、福島県浪江町復興有識者会議委員、岩手県北上市「工業振興アドバイザー」、岩手県宮古市「産業創造アドバイザー」、ひたち立志塾塾頭。
主著に『現場主義の人材育成法』(ちくま新書、2005)、『ニッポンのモノづくり学』(日経BP社、2005)、『「農」と「食」の農商工連携』(新評論、2009)、『地域産業の「現場」を行く』第1〜5集(新評論、2008〜11)など。

内 容

 2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震が発生、岩手県、宮城県、福島県の沿岸地域を中心に甚大な被害をもたらした。それによる災害は、地震、津波、火災、放射能被害などが重なり、私たちがこれまで経験したことのない「複合災害」の様相を呈している。振り返るまでもなく、私たちの日本は1990年頃を境に、大きな構造変化に直面してきた。国内的には成熟化、人口減少、高齢化が進み、戦後50年をリードしてきた大量生産・大量輸出・大量消費・大量廃棄を特徴とする「20世紀後半型経済発展モデル」が終焉し、生活と社会の新たな方向性が求められるようになった。また国際的には、資源制約の問題、アジア・中国の存在感の高まりなどにより、周辺諸国とのバランスのとれたあり方を探る必要に迫られていた。しかし、こうした課題が痛感されていたにもかかわらず、人びとは大きな変化を望まず、事態の推移は放置されてきた。今回の東日本大震災は、私たちに問題の構造をシャープに切り取ってみせ、もはやそのように解決を先延ばしすることができないことに気づかせた。深い被災からの復旧・復興の過程を通じて、私たちは新たな日本の地域産業と中小企業のあり方を模索していかなくてはならない。それはおそらく、消尽を是とするかつての「20世紀後半型経済発展モデル」とは対極のものとなるだろう。地域の資源を大切に見直し、そこに新たな価値を付与して商品とし、それを丁寧に供給・消費し、最後にはリサイクルしていくというスタイルであろう。本書は、地域産業振興をテーマにしている著者たちが、被災後ほぼ1年という状況の中で引き続き復旧・復興に懸命に努めている東日本の「現場」に分け入り、その現状と課題を報告するものである。被災から1年ほどが経過すると、地域産業・中小企業の復旧・復興も明らかに新しいステージに立ちつつあることがみえてくる。人びとの「希望」と「思い」が形となり、被災地の地域産業と中小企業が新たな形で甦ってくることを願うばかりである。
(編者 関 満博)
●目次●
序 章 東日本大震災と地域産業の復旧・復興……関 満博
第Ⅰ部 復興に向かう地域産業 
第1章 岩手県宮古市の現状と産業復興……佐藤日出海
第2章 大船渡市、陸前高田市における産業復興……山本 健
第3章 水産加工業の復興と新たな仕組みの構築(岩手県大船渡市・釜石市)……松永桂子
第4章 被災した農漁業者の復旧・復興(宮城県気仙沼市本吉地区)……関 満博
第5章 人と人のつながりが育む復興への希望(宮城県女川町)……立川寛之
第6章 原子力災害からの産業復興(福島県浪江町)……長崎利幸
第Ⅱ部 復興に向けた新たな取り組み
第7章 被災中小企業が求めるリスクマネーの調達……遠山 浩
第8章 被災地の雇用の状況と産業復興……山藤竜太郎
第9章 草の根復興支援のソーシャル・マーケティング……古川一郎
第10章 被災地復興と電力改革……橘川武郎
第11章 産業復興の現場の取り組みと課題(阪神・淡路から東日本を考える)……三谷陽造
終 章 地域産業復興の課題……関 満博

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