のちに中国国歌となる名曲をはじめ、数々の歌曲で民衆を鼓舞した天才作曲家。豊富な資料からその短い生涯と謎の死の真相に迫る。没後80年記念出版

978-4-7948-1009-0

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のちに中国国歌となる名曲をはじめ、数々の歌曲で民衆を鼓舞した天才作曲家。豊富な資料からその短い生涯と謎の死の真相に迫る。没後80年記念出版

関連ワード
歌で革命に挑んだ男
タイトル
サブタイトル
中国国歌作曲者・聶耳と日本
著者・編者・訳者
岡崎雄兒著
発行年月日
2015年 7月 15日
定価
3,080円
ISBN
ISBN978-4-7948-1009-0 C0023
判型
四六判並製
頁数
284ページ

著者・編者・訳者紹介

著者紹介-岡崎雄兒(おかざき・ゆうじ)
1944年生まれ、神奈川県出身。
早稲田大学第一商学部卒業。
日本国際貿易促進協会、中京学院大学経営学部教授などを経て、現在東北公益文科大学非常勤講師。
単著『神奈川の中の中国』(東方書店)、『最新中国を知るキーワード99』(同学社)、共著『日中交流の四半世紀』(東洋経済新報社)など。

内容

近年、国際競技の場などで中国の国歌を耳にする機会が増えてきた。「起来! 不願做奴隷的人們!(起て! 奴隷たることを望まぬ人々よ!)」で始まるこの歌はもともと、のちに日中戦争へと収斂する帝国主義日本との戦いに立ち上がる青年たちを描いた映画の主題歌だった。映画の題名は『風雲児女(嵐の中の若者たち)』。いまからちょうど八〇年前の一九三五年五月、上海で初上映された。その主題歌「義勇軍進行曲」は、日中戦争が始まるとその勇壮な旋律、力強い歌詞によって戦場に赴く兵士を励まし、抗日歌曲を代表するものとなった。そして四九年の中華人民共和国成立にあたり、国民的な支持を背景に暫定国歌に選定されることになる(その後正式に国歌と認定)。だがこれを作曲した聶耳(ニエアル)は、映画公開から間もない一九三五年七月、故郷雲南省を遠く離れた神奈川県藤沢市の鵠沼海岸で溺死した。私はあるとき、この夭折した隣国の作曲家の死が、事故死ではなく謀殺だったという噂を耳にした。日中の相互理解と友好のためにも、真相を明らかにする必要があるのではないか―これをきっかけに、その後十数年にわたって資料を蒐集し、現地へ取材にも赴いた。それらの調査をもとに、彼の短い生涯と死の真相に迫ろうと試みたのが本書である。聶耳は長い間、「革命音楽家」として聖人視されてきた。だが近年の研究によって、「聖人」の呪縛から解放された真の聶耳像が明らかとなりつつある。小著では、そうした最新の研究成果なども踏まえ、虚飾も誇張もない聶耳の実像を描くことをめざした。私にとって、聶耳の生涯を知ることは、日本の近現代史を捉え直すことでもあった。そのような歴史の再検討の中にこそ、近隣諸国との関わり方を考える上での原点があると考えている。そのささやかな試みである本書が、日中関係のみならず日本‐アジア諸国関係の改善に少しでも寄与するところがあればと願う。
(著者 おかざき・ゆうじ)

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