豊かな地下水の水場を中心に形成された地域コミュニティと独自の「カバタ文化」で世界的な注目を集める針江の全貌!

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タイトル
台所を川は流れる
サブタイトル
地下水脈の上に立つ針江集落
著者・編者・訳者
小坂育子著
発行年月日
2010年 7月 9日
定価
2,376円
ISBN
ISBN978-4-7948-0843-1 
判型
四六判並製
頁数
262頁+カラー口絵8ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-小坂育子(こさか・いくこ)
1947年生まれ。
結婚を機に旧滋賀県志賀町(現、大津市)に移住、20年にわたりホタル調査、水環境カルテ調査、地元学調査などに携わる。
水と文化研究会事務局長、子ども流域文化研究所代表、地元学ネットワーク近畿代表。
主著『聞き書き 里山に生きる』(サンライズ出版)。

内 容

 都市化と産業化が進んだ現代、私たちはお金を出せば何でも手に入れることができるようになったかに見える。しかし、科学技術の追求と、山、川、里、湖をそれぞれ切り離して行われる産業振興のなかで、人・モノ・出来事の間のかかわりが見えづらくなっているように思われる。そのようななかで、本書に登場する針江区(滋賀県高島市新旭町内)は、「水と人のかかわり」を軸に生活と産業が営まれている点で注目すべき地域である。
 針江区では、集落を流れる川と、各家庭の敷地内に湧き出ている豊かな地下水―台所の中を流れる川―を生活用水として利用している。この地で昔も今も変わらず維持されている「水使い」は驚くべきもので、集落にはこの湧き水を中心にしっかりとした地域コミュニティが形成されている。私たちが幼いころよく耳にした、「おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に…」というフレーズが、針江では決して昔話ではないのである。かつては日本のどこにでも見られた、こうした「水と人のかかわり」を中心にした暮らしの風景の根底には、「ていねいに」「始末する」「もったいない」といった精神文化が豊かに息づいている。命の水には水神さんが宿ると信じられ、その命の水を利用させていただく川端(カバタ)には花が供えられる。針江の「カバタ文化」は、水に感謝し、集落の共有財産として川を維持管理することで生活環境を整え、住民どうしの絆の意識を強める地域社会の知恵に支えられているのである。
 環境や経済の持続可能性が深刻な課題となっている現在、進歩の陰で退化しつつあるものを見つめ直すことの意味は大きい。人間の生存に不可欠で、暮らしの原点でもある「水」とのかかわりを、針江の事例を通して改めて問い直すことで、地域の未来をそこに住む人々みんなで考えてみませんか―本書はそんな問いかけの書である。(著者 小坂 育子)

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