女たちの直売所・加工などの一方で、男たちが拡げていた「農業の共同化」の動き。農山村の新時代を予感させる取り組みを詳細報告。

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タイトル
集落営農/農山村の未来を拓く
著者・編者・訳者
関満博・松永桂子編
発行年月日
2012年 1月 10日
定価
2,700円
ISBN
ISBN978-4-7948-0889-9 
判型
四六判並製
頁数
256ページ

著者・編者・訳者紹介

編者-関満博(せき・みつひろ)-
1948年生まれ。
明星大学経済学部教授、一橋大学名誉教授。
『地域産業の「現場」を行く』(既刊1〜5集)『「農」と「食」の農商工連携』他。
松永桂子(まつなが・けいこ)-
1975年生まれ。
大阪市立大学大学院創造都市研究科准教授。
共編著『「農」と「食」の女性起業』他。

内 容

 1990年代の初頭にバブル経済が崩壊して以来、地域産業の現場も暗い雰囲気に覆われている。だが、全国各地の農山村地域に入ると、何か不思議な輝きに遭遇することが少なくない。そこには「農産物直売所」「農産物加工」「農村レストラン」などが展開し、年配の女性たちが賑やかに活動している。さらに、もう一歩踏み込むと、ここでは「集落営農」に取り組んでいる、という説明を受ける。
 戦後の農地解放以来、日本の農業は小規模な生産者による水稲を中心としてきた。そして、日本全体の復興と工業化が進む中で、工業部門に人びとは吸いよせられ、農業の兼業化、水稲の機械化が徹底的に推進されていった。それから数十年が経ち、農山村では若者の姿は薄れ、人口減少、高齢化、耕作放棄地の増大が顕著になっていく。農家の女性たちは、育児、家事に加え農地を守り、さらにパートタイマーとして働きに出かけ、その上に老親の介護まで担ってきた。だが、90年代に入る頃には育児の手が離れ、彼女たちは農産物の直売、加工に新たな可能性をみていくことになる(その経緯は関・松永編『農産物直売所』『「農」と「食」の女性起業』などに詳しく記した)。
 そして、このような農村女性の高まりの一方で、男性たちによる「集落営農」が静かに拡大してきた。富山県や島根県、広島県、山口県などの地方の現場で、30年ほど前から一部の人びとにより取り組まれてきた。機械の共同化から出発し、農地を集積して大規模経営に向かうものから、荒廃する農地を守ろうとするものまで多様である。この集落営農に踏み込むと、農山村の様子は大きく変わっていく。共同化への意識が強くなり、定年帰農の男性たちがそこから勇気を得て、事業の多角化、複合化を目指し、工夫を重ねていく。そして、女性たちは集落営農により基幹的な水稲から解放され、新たな余裕が生まれてくる。女性主体の「農産物直売所」「農産物加工」「農村レストラン」、男性主体の「集落営農」が両輪となり、農山村に新たな時代が到来しているようにみえる。そのいずれもが、人びとの自主的な動きとして進められているのである。(編者 関 満博)

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