なぜスウェーデンには「生涯にわたる学習」を支える豊かな制度があるのか。その歴史と思想的・組織的・運動的基盤を読み解く。

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タイトル
生涯学習社会のポリティクス
サブタイトル
スウェーデン成人教育の歴史と構造
著者・編者・訳者
太田美幸
発行年月日
2011年 1月 26日
定価
4,104円
ISBN
ISBN978-4-7948-0858-5 
判型
A5判上製
頁数
380ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-太田美幸(おおた・みゆき)-
立教大学文学部准教授。
日本学術振興会特別研究員、リンシェーピン大学客員研究員、鳥取大学講師を経て、2010年4月より現職。
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。
博士(社会学)。
訳書にA・ニューマン&B・スヴェンソン『性的虐待を受けた少年たち』

内 容

 1970年代半ば、OECD(経済協力開発機構)は成人の学習権保障と不平等縮減のための教育戦略として「リカレント教育」を提唱した。これはもともとスウェーデンで生まれヨーロッパ諸国に紹介されたアイデアで、教育を子ども期・青年期に集中させることに代えて、労働や余暇の期間を挟みながら生涯にわたって繰り返すことを指している。そして、スウェーデンはその実現においてある程度の成功を収めてきた。有給教育休暇制度、公立成人学校、各種の修学援助、ノンフォーマル教育への国庫助成など、成人の学習を支援する制度が豊かに整えられ、「学習社会」として国際的な注目を集めている。スウェーデンの成人の生涯学習参加率は、長らく世界のトップの位置を占めてきた。
 では、なぜスウェーデンでそれが可能となったのか。「リカレント教育」のアイデアが生まれた素地とは何だったのか。本書は、スウェーデンの成人教育の歴史をたどり、その思想的・組織的基盤を明らかにしたものである。スウェーデンの生涯学習の特徴は、他国に先駆けて導入された成人教育政策と、19世紀末以降の民衆運動を通じて組織化された民衆教育とが、相互に影響しあいながら共存している点にある。リカレント教育政策の導入も、民衆教育との強い連携のもとで実現したものであった。成人教育の多様な推進主体とその目的、個々の活動の複層的な絡まり合いを歴史的に読み解くことによって、また、現代の様々な社会運動と人々の日常的な学習との結びつきを見ることによって、制度や統計から示される「学習社会」とは異なる姿が見えてくる。スウェーデンの福祉国家形成と深く関わる「学習サークル・デモクラシー」の構造もまた、ここから明らかになるだろう。
(著者 太田美幸)

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