民衆の希望を反映して増殖を続ける《英雄的ゲリラ》のイコン。その無数の流用と神話化のメカニズムに「変革」への夢を探る。

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タイトル
イコンとしてのチェ・ゲバラ
サブタイトル
〈英雄的ゲリラ〉像と〈チェボリューション〉のゆくえ
著者・編者・訳者
加藤薫著
発行年月日
2014年 2月 21日
定価
2,376円
ISBN
ISBN978-4-7948-0962-9 
判型
A5判並製
頁数
188ページ+カラー口絵4ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-加藤薫(かとう・かおる)
1949年生まれ。
中南米・カリブ圏・米国ラティーノ美術研究者、評論家、神奈川大学教授。
各種美術展の企画やテレビ番組制作にも携わる。
主著に『ニューメキシコ 第四世界の多元文化』『キューバ☆現代美術の流れ』『骸骨の聖母サンタ・ムエルテ』など。

内 容

 ジャン=ポール・サルトルをして「20世紀で最も完璧な人間」と言わしめ、ジョン・レノンに「世界で一番カッコいい男」と称賛された人物。その名はエルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ(1928~67)、一般にチェ・ゲバラとして知られる。1967年に非業の死を遂げて以来、チェ・ゲバラの《英雄的ゲリラ》としてのイメージは、民衆の願望や希望を反映した神話化のプロセスを歩んできた。そしてそのイメージは、21世紀になっても消費しつくされることなく、理想の未来を目指す運動のイコンとしていまも増幅を続けている。本書は、数多あるゲバラ研究に新発見の事実や歴史の新解釈を加え、脱神話化の文脈でその「英雄性」を世に問うというものではない。社会正義や「公正な社会」の実現のため、あるいはささやかな自己実現のためにチェ・ゲバラのイメージを必要とした人々の物語であり、彼の英雄譚をあらわす表徴/イコンの集成ということになる。そこで中心的な役割を果たしたのが、写真家コルダが撮影した「世界で一番有名な肖像写真」である。そのアプロプリエーション(流用)の範囲は、芸術作品から商品にいたるまで実に幅広い。多くの写真家やアーティストたちが、このイコンをイメージの上で超えていく図像の創造を、あるいは、過去のイメージの発掘と再生を競いあってきた。本書ではこういった事例の紹介に相当の紙数を費やしている。ゲバラというイコンは、なにゆえいまだに愛され、必要とされているのか。その理由を、現代社会のありように照らしあわせながら、読者とともに探ってみたい。草の根からの社会変革が可能だと信じた20世紀後半の数々の抵抗運動の挫折を経て、より複雑さを増し、真の敵が見えにくくなっている現代において、「チェボリューション」(ゲバラの理想や行動を参照しつつ目指される社会と人間の変革)は果たして可能か、あるいは本当に必要なのか。本書はそれを考えるための一歩である。
(著者 加藤 薫)

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