『赤と黒』『パルムの僧院』の作家、文豪スタンダールの魅力を多面的に描く。芸術、旅、恋愛…文学の豊穣な世界への誘い。

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タイトル
スタンダールとは誰か
著者・編者・訳者
臼田紘著
発行年月日
2011年 3月 23日
定価
2,592円
ISBN
ISBN978-4-7948-0866-0 
判型
四六判並製
頁数
254ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-臼田紘(うすだ・ひろし)-
1940年東京生まれ。
早稲田大学文学部仏文科卒業。現在 跡見学園女子大学文学部教授。
著書に『フランス小説の現在』(共著)、『概観フランス文学』、『スタンダール氏との旅』
訳書にスタンダールの『イタリア紀行』『イタリア旅日記1・2』『ローマ散歩1・2』など。

内 容

 新聞などで古典ブームだと言われている。わたしはそうした書き方に首をひねってしまう。確かに、『源氏物語』の多様な現代語訳が出たり、古典と称される外国文学の新訳が出版されたりして、話題になってはいるが、ブームというほどのものだろうか。仮にそうだとしても、ブームと言うと何かしら底の浅いものを感じる。第一、こうした出版が、古典の新しい読者層を掘り起こしているとはどうしても思えないからだ。大学で教えた経験から見て、若い人たちのあいだでの文学的教養の衰退は容易に修復しがたい状況にまでなっている。
 わたしが長年読み続けてきたフランスの作家スタンダール(1783-1842)も、学生たちには「それは誰なの」という程度であり、ましてその代表作『赤と黒』(1830)については、一部の研究家や愛好者を除いて、一般の人にも今では特に注目されることがない。スタンダールの名を知る人には、場合によっては、「何で今さら」と思われるかもしれない。しかしこの作家の豊穣な世界は、なかなか汲み尽くせるものではない。これはいわゆる古典作家すべてに通じることであろう。消耗品的な物語の量産と隆盛のなかで、次々とそれらを消費していくより、じっくりと古典に向き合うなら、それが語りかけてくるものは計り知れない。スタンダールには真にそれだけのものがある。
 スタンダールとかれの作品について、わたしがあれこれと想いをめぐらし、対話し、書いてきたものを集めたのが今回のエッセー集である。論文風の少し硬いもの、閑談風の軟らかいものと、とり混ぜてある。これを手引きとしてこの作家に近づいてくれる人、または読み直しをしてくれる人が出てくれば、著者として大いなる喜びである。
(うすだ・ひろし)

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