世界中を感動で包んだあの名作が
待望の新訳で再生!
時は近未来。生まれ育った理想郷の秘密を知った少年は、真実をとりもどす旅に出る…SFの古典的名作が新訳で再生!

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関連ワード
ギヴァー 記憶を注ぐ者
タイトル
著者・編者・訳者
L.ローリー(Lois Lowry)著
 
島津やよい訳
発行年月日
2010年 1月 10日
定価
1,650円
ISBN
ISBN978-4-7948-0826-4 
判型
四六判上製
頁数
256ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-Lois LOWRY(ロイス・ローリー)(1937-)-
ハワイ生まれ、アメリカの児童文学作家。
陸軍の歯科医将校だった父について各地を転々とし、少女時代を東京で過ごす。
『ふたりの星』(講談社)と本作で,世界的に名高い児童文学賞ニューベリー賞を2度受賞。
邦訳に『サイレントボーイ』『ドリーム・ギバー』など。
著者L. ローリー(写真cNeil Giordano)
著者L. ローリー(写真©Neil Giordano)

内 容

 本書は、アメリカの児童文学作家による近未来小説です。とはいえ、その魅力はとうてい児童文学の枠に収まるものではありません。シンプルかつ綿密な設定、心おどるストーリー展開、とぎすまされた文章、そして人生について深く考えさせる巧みな構成は、大人から子どもまで幅広い年齢層の読者を魅了しました(原作は累計530万部を記録)。日本でもいちど邦訳(掛川恭子訳『ザ・ギバー』講談社、1995)が出ましたが、残念ながら絶版となっていました。しかしその人気は根づよく、大勢の「ギバー・ファン」たちがインターネット上で作品の魅力を語り合い、またこんなふうに嘆きあってきました。「これほどおもしろい本が手に入らない、人に薦められないのはもったいない」。今回の新訳版は、(訳者を含めた)そうしたファンたちの思いの結晶でもあります。
 作品の舞台は遠からぬ未来(あるいはひょっとしたら現代)、管理社会下の人間の葛藤を描いたディストピア寓話です。最小の道具立てで極上のエンターテインメントが展開していき、あっというまに物語の中にひきこまれます。しかも、家族、職業、愛、生と死、幸福、歴史と未来など、私たちが生きているかぎり考えつづけるであろう重たい、けれども大切な問題についてのヒントが、静かに、深く、豊かに織りこまれています。
 最後にあらすじをほんの少し。主人公はもうすぐ12歳になる少年で、名前をジョナスといいます。彼の住むコミュニティは、いっさいの苦痛も不便もなく、とても安全・平穏で、まさしく理想郷です。けれど、そこには何か重大なものが欠けているようです。まもなく12月、すべての子どもが職業を授けられる「12歳の儀式」の日が訪れ、ジョナスはコミュニティでただ一人の「記憶の器」【レシーヴァー】に任命されるのですが…。このつづきはぜひ、新訳版で。
(訳者 島津やよい))


詳細情報

作者ロイス・ローリー(Lois LOWRY)について
アメリカの児童文学作家。1937年ハワイに生まれる。連合国陸軍の歯科医将校だった父について各地を転々とし、第二次世界大戦が終結してまもない1948〜50年、11歳から13歳までの少女時代を東京の「ワシントン・ハイツ」(現在の渋谷区代々木公園内に設けられていた駐留米軍将校用の団地)で過ごす。高校時代にニューヨークに戻り、アイヴィー・リーグ八校の一つブラウン大学に入学したが、在学中の19歳で結婚し大学を中退する。海軍士官の夫について再び国内転地をくりかえす間に4児の母となる。夫の退官にともないメイン州に落ちついたのち、州立南メイン大学に再入学し大学院を卒業。この頃から、幼少時以来ノートに書きつづっていた物語や詩をもとに本格的な執筆活動を始める。1977年、夭逝した姉の思い出を題材とした処女作A Summer to Die(邦題『モリーのアルバム』)を発表、高く評価される。同年に離婚。
ナチス占領下のデンマークを舞台に、自由と友情を求める少女の姿を描いたNumber the Stars(邦題『ふたりの星』)と本作で、世界的に名高い児童文学賞「ニューベリー賞」を受賞(1990年度と94年度)。ほかにも「ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞」、「マーク・トウェイン賞」など数々の文学賞を受賞している。現在までに約40冊の小説を発表しており、作品世界もスタイルも多彩だが、そのすべてに「人間同士のつながり」というテーマが貫かれている。児童文学作家でありながら読者層は大人から子どもまで幅広く、国内のみならず世界中にファンをもつ。
ふだんはマサチューセッツ州ケンブリッジに住み、ときおりメイン州の別宅で自然を満喫する生活をおくっている。自身のサイトブログでは、4人の孫たちや日々の暮らしの光景を自ら撮影した写真が公開されている。

本作品について(原題:The Giver, New York: Houghton Mifflin Company, 1993)
原作は累計530万部のセールスを記録しているロングセラー。日本でも1995年に邦訳『ザ・ギバー』(講談社)が刊行されて熱狂的な愛読者を獲得したものの、残念ながら絶版となっていた。本書はその新訳版である。 作者はニューベリー賞の受賞スピーチの中で、この作品の最初の着想は少女時代を過ごした東京・渋谷での体験だったと語っている。「日本社会から隔絶したワシントン・ハイツは、まるで合衆国内の村の奇妙なレプリカのようでした。私はいつも両親に内緒で、自転車に乗り、快適でなじみ深くて安全なコミュニティを抜けだして街へ出かけました。丘を下り、親しみのない、ちょっと居心地の悪い、ひょっとしたら危険な渋谷の街へ入る時、胸が高鳴りました。街にあふれる活気、派手な灯り、騒音など、自分の日常とはかけはなれた感覚がとても気に入っていました。」(英語のスピーチ全文は上記サイトに掲載されている)

邦訳のある作品一覧(原書刊行順)
A summer to die, 1977(足沢良子訳『モリーのアルバム』講談社 1982)
Anastasia Krupnik, 1979(《アナスタシア・シリーズ1》掛川恭子訳『愛って、なあに? わたしのひみつノート1』偕成社 1988)
Anastasia again!, 1981(《アナスタシア・シリーズ2》掛川恭子訳『おとなりさんは魔女かしら わたしのひみつノート2』偕成社 1989)
Anastasia at your service, 1982(《アナスタシア・シリーズ3》掛川恭子訳『ただいまアルバイト募集中 わたしのひみつノート3』偕成社 1989)
Number the Stars, 1989(掛川恭子・卜部千恵子訳『ふたりの星』講談社 1992)
The Giver, 1993(掛川恭子訳『ザ・ギバー 記憶を伝える者』講談社 1995)
The Silent Boy, 2003(中村浩美訳『サイレントボーイ』アンドリュース・プレス 2003)
Gossamer, 2006(西川美樹訳『ドリーム・ギバー 夢紡ぐ精霊たち』金の星社 2008)


〈ギヴァー三部作〉について
本作『ギヴァー』と、以下に概要を記す続編Gathering
Blue(2000)、Messenger(2004)(いずれも未邦訳)の3冊が〈ギヴァー三部作〉(The Giver Trilogy)とされている。
Gathering Blue  足に障害をもつ少女キラ(Kira)は、母を亡くしひとりぼっちになってしまった。病者や不適合者への敵意に満ちた村で生き残るには、評議会の審議をパスしなければならない。ところが、召喚されたキラを待っていたのは思いもかけない運命だった…。『ギヴァー』に続き、苛烈な近未来社会の中で真実に迫っていく子どもたちの姿が描かれる。
Messenger  叡智ある者の指導のもと、人々が互いに支え合い、平和に暮らす「村」。その周囲には村人の恐れる森が広がっていた。ある時、不吉な変化があらわれ、村の境界は固く封鎖されてしまう。不思議な力をもつ少年マティ(Matty)は、村の外にいるキラをとりもどすため森に入るが…。『Gathering Blue』と『ギヴァー』の登場人物が出逢い、三部作が完結する。



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