みどりとサンタ

　「グリーンサンタ」を知っていますか？　文字通り緑の衣装を身にまとったサンタクロースです。では、なぜ緑の衣装を着ているのでしょうか？
　地球温暖化や森林破壊など、現在、私たちは深刻な環境問題を抱えています。そして、子どもたちが大好きな「クリスマス」も確実にその影響を受けています。クリスマスツリーに使うモミの木、そしてしんしんと降るきれいな雪が年々脅かされてきているのです。こんな環境破壊が進む中で、グリーンサンタは誕生しました。「自然を大切にしよう」、「緑を大切にしよう」というメッセージを子どもたちに伝えるため、エコロジーの象徴色である緑の服を着て、植物や花の種をプレゼントして回っているのです。
　今回ご紹介する物語では、赤いサンタクロースがどのようにして「グリーンサンタ」に生まれ変わったのかが描かれています。舞台となっているのはサンタクロースの故郷ともいわれているデンマークですが、面白いことに主人公は日本からやって来た小さな女の子（みどりちゃん）なのです。サンタのおじいさんは、みどりちゃんに出会ったことでグリーンサンタになることを決心しました。そして、70年後、おじいさんはみどりちゃんにもサンタクロースになってほしいと思っておばあさんになった彼女に会いに行くのですが……。
　この物語の中では、サンタさんのお家にやって来たみどりちゃんが、サンタの運転するソリに乗ってデンマーク中を飛び回ります。そこで出会う個性豊かな登場人物を通して、デンマークの文化や歴史にも触れることができる1冊となっています。そう、まるで主人公のみどりちゃんと一緒にデンマーク中を旅したかのような気分にもなれます。ぜひ、お楽しみください。