膨大な資料を読み解き、国家の枠組を超えた二人(ガミオ-ボアズ)の人類学者の〈文化〉をめぐる対話を浮き彫りにする

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タイトル
革命期メキシコ・文化概念の生成
サブタイトル
ガミオ-ボアズ往復書簡の研究
著者・編者・訳者
大村香苗著
発行年月日
2007年 3月 2日
定価
6,480円
ISBN
ISBN978-4-7948-0723-6 
判型
A5判上製
頁数
414(口絵4頁)ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-大村香苗(おおむら・かなえ)
1969年岐阜県生まれ。
南山大学外国語学部イスパニア学科卒業。
2005年お茶の水女子大学大学院人間文化研究科修了。
人文博士(文化人類学専攻)。
現在、カリフォルニア大学ロサンジェルス校・ラテンアメリカ研究センター客員研究員。

内 容



 「異なる文化を持つ人々が相互に理解しあい共存することは可能なのだろうか」。
 地球規模での人々の接触が進む今日、このような問いがさらなる切迫感を持って発せられている。本書は、出身背景を大きく異にする二人の人類学者の交流の軌跡を通して、この問いを探究しようとするものである。
 本書の舞台は、20世紀初頭の革命期メキシコである。ナショナリズムの気運高まるこの時期のメキシコにおいて、二人の人類学者—メキシコ人マヌエル・ガミオとドイツ生まれのユダヤ系米国人フランツ・ボアズ—は、人類学研究の拠点を創設するという共通の目的を介して知り合った。本書は、ガミオとボアズが交わした約140通の書簡と「ガミオ・アーカイブ」(論文・書簡・新聞記事のコレクション)約400点を、メキシコ、米国、ヨーロッパから成る多層的な文脈の中に位置づけながら読み解くことにより、「国民国家」の様々なあり方、さらにはそれが文化の多様性を尊重すべきとする立場(文化的多元主義)と交差・葛藤する様相を明らかにしたものである。
 文化的多元主義のパイオニアとも呼ばれるボアズは、人種的差別が吹き荒れる当時の米国社会に真っ向から対抗した社会活動家としても知られる。ボアズが行った数々の議論は、今日の異文化理解の鍵ともなる「文化」や「人種」の概念が練り上げられる素地を作り、文化相対主義の観点を提供した。一方、ボアズのもとで学んだガミオは、その理論を存分に吸収しながらも、多様な人種や文化から構成される多民族国家メキシコにそれらを直接移植するのではなく、メキシコ独自の文化概念の生成を目指した。
 本書では、革命の波に翻弄されながらも国家の枠組みを超えて協力しあい、かつ議論を通じて次第に見解を異にしていくガミオとボアズの姿を通して、文化や人種の違いを理解した上で尊重しあう社会とはどのように可能なのか、その実現の困難性も含めて考えてみたい。

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