近代的思惟の遺産に現代の課題への鍵を読む

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タイトル
西洋政治理論史(下)
著者・編者・訳者
岸本広司・川出良枝編
発行年月日
2005年 12月 9日
定価
5,940円
ISBN
ISBN4-7948-0683-3 
判型
A5判上製
頁数
404ページ

著者・編者・訳者紹介

藤原保信(ふじはら・やすのぶ)
1935年生まれ、94年没。元早稲田大学政治経済学部教授。政治学博士。政治思想史専攻。
『自由主義の再検討』(岩波新書、1993)など著書多数。

編者-岸本広司(岡山大学教育学部教授)
川出良枝(東京大学法学部教授)

内 容



 〈藤原保信著作集〉第4巻は、プラトンからホッブズにいたる政治理論を取り上げた第3巻(既刊)に続くもので、藤原の記念碑的な著作『西洋政治理論史』(初版1985年)の後半部分を収録する。
 本巻ではロックからウェーバーまでの思想が論じられる。前巻で明らかになったように、藤原はホッブズの政治哲学の中に、自然観、人間観、政治観にわたるトータルな「近代」のパラダイムを見いだした。このパラダイムのもたらした正負の結果をみすえながら、藤原は、核戦争や環境破壊に代表される現代の危機を克服するためには、近代社会の全面的な見直しに着手すべきだと考える。
 本巻で扱われる思想家のうち、まずロックはホッブズ的なパラダイムのいわば完成者とされる。続くルソー、ヘーゲル、マルクスは、近代批判の理論の系譜として位置づけられる。なかでもヘーゲルは、その「人倫」概念によって、近代市民社会の欠陥を是正し、有機体的な秩序を回復する道筋を示した理論家として、深い共感をもって描かれる。ヘーゲルとの違いよりは共通性を強調されるマルクス、その病理を鋭く認識しつつも最終的には近代社会を受け入れたとされるウェーバーと、各思想家の理論的特質をあますところなく描き出した上で藤原は、「結論」において自らの政治理論の課題を端的に述べ、この浩瀚な一書を閉じる。
 『西洋政治理論史』は、過去の思想を過ぎ去った時代の歴史的文脈に還元することで理解するという方法論を用いるものではない。本書のねらいは、古典の名に値する著作の中に含まれる、時代を超えた普遍的な問題への理論的な取り組みを再構成していくというものである。そこには、古典の中に、現代の諸問題の解決に向けて真剣に学び、かつ批判すべき重要な遺産を見いだしていかなければならない、という藤原の確信が込められている。西洋政治思想史、政治学史といった様々な名称の下で刊行される類書の中にあって、本書の個性を際だたせるのは、まさにこの藤原の古典に対する深い信頼の念であり、また現代の危機に対する真摯な問題意識であろう。




関連書籍:
『藤原保信著作集 第6巻 大正デモクラシーと大山郁夫』
『藤原保信著作集 第9巻 自由主義の再検討』
『藤原保信著作集 第10巻 公共性の再構築に向けて』
『藤原保信著作集 第3巻 西洋政治理論史(上)』

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