人と思想中世キリスト教神秘思想界の巨人エックハルトの生涯と、その思想的意義、およびルター、ブーバー、ユング、フロム等、後世の知識人界に与えた多大なる影響。

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タイトル
評伝 マイスター・エックハルト
サブタイトル
人と思想
著者・編者・訳者
G・ヴェーア著
 
徳岡知和子訳
発行年月日
1999年 9月 7日
定価
2,700円
ISBN
ISBN4-7948-0459-8 
判型
四六判上製
頁数
280ページ

内 容

【人と思想】中世キリスト教神秘思想界の巨人エックハルトの生涯と、その思想的意義、およびルター、ブーバー、ユング、フロム等、後世の知識人界に与えた多大なる影響。
 本書は中世キリスト教神秘思想界の巨人マイスター・エックハルト(1260頃〜1327)の入門書である。本書の構成は大きく①人物エックハルトとその時代、②思想の紹介と解説、③後世の人々にどのように受容されたか、に分けられる。
 エックハルトは学識ある高位聖職者であった。多くの信者から慕われながら、まさにその人をひきつける説教のために晩年、異端の嫌疑をかけられ不遇の生涯を終える。死後は異端宣告を受けたこともあって数百年のあいだ忘れられた存在となっていたが、その思想の火は絶えることなく、のちのちの人々に大きな影響を与えていく。タウラーやゾイゼなどの直弟子は独自に思想家として名を残し、師エックハルトとともにドイツ神秘思想の源流となる。時代下って、ルネサンス期のニコラウス・クザーヌス、宗教改革者マルティン・ルター、近世神秘思想家ヤーコブ・ベーメ、さらにそれらを通じてロマン派の文学者など数々の文化人が強烈なインスピレーションを受けていく。また近現代でも哲学者マルティン・ブーバー、心理学者C・G・ユング、精神神経科医師および思想家エーリッヒ・フロムなどから高い評価を受けている。
 エックハルトはお仕着せの信仰形態に満足してはならないと説く。「人間は考えられた神に満足してはならない。なぜなら考えがなくなれば神もなくなってしまうからである」。しかも神と人間は別々のものではない。「単純な人々の多くは神はあちらにいて自分たちはこちらにいると思い込んでいる。しかしそうではない。神と私、私たちはひとつである」。また「捨てる」ことを重視し「なにものにもとらわれず自由な人は神と等しくなった人であり、このような人は何も恐れるものがない」と仏教にも似た思想を語る。
 中世ヨーロッパ知識人の共通語はラテン語であった。聖職者もラテン語で語り、著述するのが一般的だった。そんな時代にエックハルトは普通の人々に民衆の言葉(ドイツ語)で語りかけた。エックハルト没後数百年ののちルターがドイツ語訳聖書を世に出し標準ドイツ語の基礎を築くが、エックハルトはその先駆者とも言えるのである。
(とくおか・ちわこ 翻訳家)

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