アメリカ自然文学の基礎を築いた作家が、博物学の知識と奥深い思索によって「科学と詩」を結ぶ自然随筆の傑作
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アメリカ自然文学の基礎を築いた作家が、博物学の知識と奥深い思索によって「科学と詩」を結ぶ自然随筆の傑作
- 関連ワード
- 鳥と詩人 自然と文学を愛する人たちへ
- タイトル
- サブタイトル
- 自然と文学を愛する人たちへ
- 著者・編者・訳者
- ジョン・バローズ著/田中浩司訳
- 発行年月日
- 2026年 4月 24日
- 定価
- 4,950円
- ISBN
- ISBN978-4-7948-1308-4 C0098
- 判型
- 四六判並製
- 頁数
- 388ページ
著者・編者・訳者紹介
著者-John BURROUGHS(ジョン・バローズ)(1837~1921)
19世紀後半アメリカを代表する自然随筆家・博物学者。
厳密な自然観察に文学的表現を結びつけ、自己の体験に即した自然の捉え方を精緻に記述した。その姿勢は自然随筆のあり方に一つの指標を与え、自然保護思想の形成にも影響を与えた。
19世紀後半アメリカを代表する自然随筆家・博物学者。
厳密な自然観察に文学的表現を結びつけ、自己の体験に即した自然の捉え方を精緻に記述した。その姿勢は自然随筆のあり方に一つの指標を与え、自然保護思想の形成にも影響を与えた。
内容
本書は、一九世紀アメリカの博物学者・自然随筆家ジョン・バローズによる随想集『Birds and Poets』の全訳である。
バローズは、エマソンやホイットマンの思想的影響を受けつつ、実地の観察に基づく自然描写と文学的省察を結びつけ、アメリカ自然文学の基礎を築いた作家として位置づけられている。その文章は、科学と詩、理知と感情の間に節度ある均衡を保ち、自然を語りながら人間の精神のあり方を静かに問い続けるものとして高く評価されてきた。
本書には、コマツグミ、マネシツグミ、ルリツグミ、タイランチョウ、ボボリンクなど、アメリカの自然に生きる多くの鳥たちが登場する。バローズはそれらを分類学的に整理するのではなく、鳴き声や行動、季節との関わりといった生きた印象を丹念に書き留めながら、文学が自然とどのような関係を結んできたのかを考察している。シェイクスピアやワーズワース、キーツらの詩に現れる鳥の表現を読み解きつつ、想像力が現実から遊離するときに生じる空虚さと、実感に裏打ちされた言葉がもつ持続的な力とを対比させる。自然は、詩的効果のための素材ではなく、まず向き合うべき現実であるという確信が、本書の批評的眼差しを支えている。その問いは、自然から遠ざかった現代人だけでなく、野鳥観察などを通じてすでに自然に親しんでいる読者にとっても、自然との関わり方や自然を見る眼差しの質を省みる契機となるだろう。
効率や情報の速度が優先され、言葉が即時的に消費されがちな現代日本において、本書が示す態度はなお示唆に富む。具体的な鳥の姿に根ざした思索は、知識として自然を消費するのではなく、経験として受け取ることの大切さを教えてくれる。翻訳にあたっては、原文の落ち着いたリズムと抑制された語り口をできる限り損なわぬよう心がけた。自然と文学、そして自らの感性との関係を静かに問い直す一冊となれば幸いである。
(たなか・こうじ 防衛大学校教授)
バローズは、エマソンやホイットマンの思想的影響を受けつつ、実地の観察に基づく自然描写と文学的省察を結びつけ、アメリカ自然文学の基礎を築いた作家として位置づけられている。その文章は、科学と詩、理知と感情の間に節度ある均衡を保ち、自然を語りながら人間の精神のあり方を静かに問い続けるものとして高く評価されてきた。
本書には、コマツグミ、マネシツグミ、ルリツグミ、タイランチョウ、ボボリンクなど、アメリカの自然に生きる多くの鳥たちが登場する。バローズはそれらを分類学的に整理するのではなく、鳴き声や行動、季節との関わりといった生きた印象を丹念に書き留めながら、文学が自然とどのような関係を結んできたのかを考察している。シェイクスピアやワーズワース、キーツらの詩に現れる鳥の表現を読み解きつつ、想像力が現実から遊離するときに生じる空虚さと、実感に裏打ちされた言葉がもつ持続的な力とを対比させる。自然は、詩的効果のための素材ではなく、まず向き合うべき現実であるという確信が、本書の批評的眼差しを支えている。その問いは、自然から遠ざかった現代人だけでなく、野鳥観察などを通じてすでに自然に親しんでいる読者にとっても、自然との関わり方や自然を見る眼差しの質を省みる契機となるだろう。
効率や情報の速度が優先され、言葉が即時的に消費されがちな現代日本において、本書が示す態度はなお示唆に富む。具体的な鳥の姿に根ざした思索は、知識として自然を消費するのではなく、経験として受け取ることの大切さを教えてくれる。翻訳にあたっては、原文の落ち着いたリズムと抑制された語り口をできる限り損なわぬよう心がけた。自然と文学、そして自らの感性との関係を静かに問い直す一冊となれば幸いである。
(たなか・こうじ 防衛大学校教授)
