緊張緩和から共産圏崩壊にかけての時代を、ひと組の母と娘の物語を通じて圧倒的迫力で描き出す、ラトヴィア文学の傑作!【4/13 NHK「おはよう日本」にて紹介】

978-4-7948-1133-2

ネット書店で注文

緊張緩和から共産圏崩壊にかけての時代を、ひと組の母と娘の物語を通じて圧倒的迫力で描き出す、ラトヴィア文学の傑作!【4/13 NHK「おはよう日本」にて紹介】

関連ワード
ソビエト・ミルク ラトヴィア母娘の記憶
タイトル
サブタイトル
ラトヴィア母娘の記憶
著者・編者・訳者
ノラ・イクステナ著 黒沢歩訳
発行年月日
2019年 9月 13日
定価
2,200円
ISBN
ISBN978-4-7948-1133-2 C0022
判型
四六判並製
頁数
268ページ

著者・編者・訳者紹介

著者 Nora IKSTENA(1969〜、ノラ・イクステナ)
リガ生まれの現代ラトヴィアを代表する小説家。
ラトヴィア大学、コロンビア大学にて学び、ラトヴィア出身の文化人らの評伝ほか短編や随筆多数。
1998年発表の Dzīves svinēšana(『人生礼賛』未邦訳)にて長編小説デビュー。

内容

ラトヴィアは、医師全体に占める女医の比率(七割超)と教育機関における女性管理職の比率(八割超)で、OECD(経済協力開発機構)加盟国中でもトップの座にある。この物語の核をなす母親もまた、産婦人科医として生命の誕生に携わる現場に身をおいている。ソビエト体制下の閉塞感に追い詰められていく母親は、出産直後の娘に乳を与えなかった。その傍らで祖父母は孫娘を養育しながら、密かに語り聞かせる――「かつてラトヴィアという国があったのだよ」「母」と「娘」という、名前の与えられていない二人の語り手は、交互にリレーをしながら繊細にたゆたう関係を紡ぎあい、それぞれの葛藤をひもといていく。そこにわずかに登場する男たちの存在感は、断片的なものにすぎない。そもそも生命と記憶は、母から娘へと継承されるものだというかのように。物語にインパクトを与えるのが、キリストを思わせるイェセと正教会の聖人セラフィムにちなんだ名をもつ人物であり、いわばオーウェル『一九八四年』のウィンストン・スミスである。ソビエト時代の人々はまた、アメリカのカウンターカルチャー、ブレジネフの死、チェルノブイリの原発事故、そしてベルリンの壁崩壊という、二〇世紀後半をガタガタと揺るがした出来事を肌身で切実に感じとっていた。物語は極めて個人的な母娘の関係を軸としながら、「人生は生まれた時代と場所で決まる」という普遍性を兼ね備え、同時にラトヴィアの森や暮らしの匂いも漂わせる。本作は、“We, Latvia, 20th century”をテーマに現代作家たちが取りかかった小説シリーズの一作である。二〇一五年に出版されて本国で記録的なベストセラーとなった。著者は本作を、女医であった実の母に捧げるものであるとともに、もし自分が出産を経験していたならばこれを書くことはなかっただろうとも述べている。原題Mātes piensの直訳は、すばり『母乳』。

(くろさわ・あゆみ 翻訳家)


イベント:

To create in the Latvian language
『ソビエト・ミルク』刊行記念
ノラ・イクステナ氏 
トークショー&サイン会のお知らせ

好評既刊書

, , , ,