情報に内在する政治力や情報提供の政治的作為に着目し情報と政治の根源的関係に迫る

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関連ワード
情報と政治
タイトル
著者・編者・訳者
中野 実責任編集
 
高瀬淳一著
発行年月日
1999年 6月
定価
3,080円
ISBN
ISBN4-7948-0461-X 
判型
四六判上製
頁数
240ページ

内 容

 21世紀を目前に控え、わが国でも政治情報のインフラストラクチャーがようやく整い始めた。今や国会審議をインターネットで傍聴し、その記録を閲覧することもできる。また、5月には情報公開法も制定され、行政情報の開示も進められることとなった。
 こうした変化にもかかわらず、「情報と政治」の根源的関係は、これまであまり議論されてこなかった。本書は「情報と政治」の関係について、とくに情報に内在する政治力や情報提供の政治的作為の側面などに着目し、幅広い議論を試みるものである。
 現在、市民の多くがもつ政治情報は、テレビを中心とするマスメディアによって与えられている。したがって、本書の議論の矛先は「テレビ・デモクラシー」とでも呼ぶべき現代の民主政治の全体像に向けられる。
 まず、第1章と第2章では、選挙における情報の政治力について検討する。第1章ではマスメディアの選挙情報を、第2章では候補者の提示する選挙情報を取りあげる。また第1章では、マスメディアの政治報道の中立性についても議論し、さらにマスメディアによって政治的無関心が助長されているとの理論も検討する。第2章では、ネガティヴ・キャンペーンの問題や選挙におけるインターネットの利用などにも言及する。
 第3章と第4章では、選挙以外の時期の政治家の情報提供活動に目を向ける。第3章では、情報提供の政治的利用の背景について、理論的な解明を試みる。一方、第4章では、アメリカ大統領と日本の首相の政治的コミュニケーションのスタイルのちがいについて、小渕首相までの国会演説の分析などもまじえながら具体的に検証する。
 第5章では、世論の形成や市民の政治的対話など、市民の発する政治情報の課題について取りあげる。そして第6章では、国際政治における情報の政治力にも言及する。具体的には、政治的意図をもった越境放送について考える。
 本書のどこかの記述を契機として、読者諸氏が情報化社会の民主政治について思索を深めることができたならば、筆者にとってこれ以上の喜びはない。
(たかせ・じゅんいち)
第1章 マスメディアの選挙情報
第2章 候補者の選挙情報
第3章 政治運営と情報提供
第4章 政権担当者の情報提供スタイル
第5章 市民参加と情報
第6章 国際政治と情報

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