「経済成長」「平和改憲」そして「国際協力」…。美名のもとで何が奪われ、何が失われているのか。勇ましい議論を超えて「共生」の本質に迫る。

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タイトル
南国港町おばちゃん信金
サブタイトル
「支援」って何? “おまけ組”共生コミュニティの創り方
著者・編者・訳者
原康子著
 
イラスト:田中由郎
発行年月日
2014年 9月 24日
定価
1,944円
ISBN
ISBN978-4-7948-0978-0 
判型
四六判並製
頁数
208ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-原康子(はら・やすこ)-
国際協力コンサルタント、コミュニティ開発専門家。われながらウサンクサイ肩書きだが、アジアやアフリカの農村や都市のスラムのおばちゃんたちと自信や自尊心を高め合い、共生のコミュニティを創る「お節介」が仕事。岐阜県出身、ネパール在住。

内 容

 本書は、たぶん書店では、「国際協力・NGO(非政府組織)」というジャンルの棚に並ぶだろう。私がいくら「この本は、有酸素運動による腰痛と肩こり改善を追求した、普遍的命題の哲学書である」と言い張っても、「哲学」の棚に並ぶことは、残念だがまずなさそうだ。私の地元、岐阜では「そんなわけあらすか?(そんなわけないでしょう?)?!」というところだ。それにしても、本書のキーワードとなる「国際協力」「支援」「援助」という言葉、美しいが、そのあり方そのものについて問われることはあまりない。「積極的平和主義」を謳う現政権がなし崩し的に押し進めている「武器の輸出規制の大幅緩和」「集団的自衛権や集団安全保障を可能とする憲法解釈」「ODA(政府開発援助)の軍事利用を禁止する要件緩和」にも、必ず「支援」とか「国際協力」とか「国際貢献」といった美名(偽装表示)が脇に付く始末。これこそ、「そんなわけあらすか?!」である。国境を超えた激しい競争社会もまた、これらの言葉を都合よく使い回し、その中身を問うことなく、市場で値段の付くもの、効率的に素早く効果を上げるもの、果ては軍事産業や原発輸出など莫大なお金と巨大な「モノ」が動くものに、その名を与えているのが現状だ。「軍事」と「経済」が一体化した「国際協力」、これらは抗し難い流れなのだろうか。こうした由々しき潮流に、真正面から勇ましく立ち向かっていくような気概、迫力は、4コマ漫画満載の“脱力”の本書からは全く伝わらないかもしれない。しかし、ちょっと息を抜いて本書の世界にもふれてほしい。一歩立ち止まり、これまでの「自分の立ち位置」、これまでとは違う「もう一つの抵抗のありか」を、考えていただくきっかけぐらいにはなるかもしれない。
 本書は岐阜県の小さな国際協力NGO(認定NPO法人ムラのミライ。2014年10月、旧称ソムニードから改称)が、南インドのスラムのおばちゃんたちと一緒に、勝ち組にも負け組にもならない“おまけ組”の共生コミュニティ、「おばちゃん信用金庫」を設立した話だ。インドの経済学者アマルティア・セン流に言えば「潜在能力の開花」、私流に言い換えれば「国際協力」という名の「お節介」の話だが、中身はやはり、普遍的命題に迫る「哲学書」だと私自身は思い込んでいる。(著者 原 康子)

目 次



はしがき 1


第1幕 南国港町おばちゃん信金 15


 第1話 鵜匠さんとインドのおばちゃんと赤味噌と 16
 誰かが誰かを援助できる?
  コラム① 認定NPO法人ムラのミライ(旧称ソムニード) 19
第2話 給与はインドルピーです 20
「援助」の仕事はさっぱり…
  コラム② カレーとサリーブラウスの裏側 25
  コラム③ 援助ヘルメット 26
第3話 途上国「援助」における職人技とは? 27
親方の技を、現場で盗みたい
  コラム④ 「援助」の現場の職人――親方紹介 30
  コラム⑤ 職人技の型を学ぶ本『途上国の人々との話し方』とは? 31
第4話 「手ぶら」でスラムを歩きました 33
大勢に囲まれしどろもどろ
  コラム⑥ ビシャカパトナム市のスラム 36
  コラム⑦ 岐阜弁とテルグ語 37
  コラム⑧ インドのおばちゃんたちとの関係づくり 39
第5話 何か変だぞ、おばちゃんたちの自助努力 40
NGOに依存しまくり
  コラム⑨ 「援助の専門家」――自称コミュニティ開発専門家 43
  コラム⑩ 対話型ファシリテーション講座 45
  コラム⑪ マイクロクレジットいろいろ 46
第6話 赤カブ漬けと「援助プロジェクト」 47
すべての仕事を徹底的に
  コラム⑫ JICA草の根技術協力事業 50
第7話 与える以外の「援助」ってあるの? 52
地元NGOとの勝てない喧嘩
  コラム⑬ テルグ暦カレンダー 55
第8話 「黄金の椅子に座る物乞い」 56
おばちゃんたちは「お客さん」ではない
  コラム⑭ いちおし南インドスイーツ 59
  コラム⑮ アクシャヤ銀行 60
  コラム⑯ 自己紹介しない私 63
第9話 偽りのパートナー 64
潜在能力に気づかぬ私
  コラム⑰ プロマネの腕の見せどころ 67
第10話 私の立ち位置、ぶれまくり 69
親方の教え
第11話 人に厳しく自分には甘い――信金設立準備委員会 72
おばちゃんたちだけの話ではない
  コラム⑱ マンゴーの香り 76
第12話 思い込みで突っ走り失敗――初めての総会 77
やっと本音で話ができるようになったと思いきや
第13話 信金のルールを知っていても仕方ない? 81
貧乏人が騙される現実
第14話 「おばちゃん信金」、ついに誕生 84
プロジェクト開始から2年半
  コラム⑲ 初代「おばちゃん信金」代表 88
第15話 ドーンと商売をしてみました 89
大損にまた口を出してしまう私
  コラム⑳ 「仮想商売」研修を遅らせた理由 92
第16話 みんなで土台を作った3年間 94
信金設立の経緯を劇に
  コラム㉑ 空から聞こえる叱咤激励 98
  コラム㉒ スタッフが振り返る3年間 99
第17話 プロジェクトの終わりが信金の終わりじゃない 100
倒産しないが課題は山積み
  コラム㉓ おばちゃん経営者はいつ現れる? 104
  コラム㉔ 低所得者用の団地 105
第18話 「プロ真似」からプロマネへ 106
「おばちゃん信金」プロジェクト第2弾! 開始
第19話 第2弾は、2カ月で中止? 110
「プロジェクトもうやめちゃうぞ宣言」
第20話 ご利用は計画的に 113
立て直しは帳簿整理から
  コラム㉕ 援助の主役は誰? 116
第21話 信金専用ソフト立ち上げのウラ話 117
パソコン業者とおばちゃんたち
第22話 研修を指導するおばちゃん指導員への研修 120
心がけた四つのこと
第23話 潜在能力開花!――おばちゃん指導員大活躍 124
本番で発揮された高い指導技術
  コラム㉖ 指導員の不正事件 128
  コラム㉗ モチベーションは大事でしょう 129
第24話 プロジェクト第2弾、総仕上げ 130
支出計画づくりで、おばちゃんたち開眼!
第25話 本音で手助けできるおばちゃんになった私 133
「援助しない技術」の職人として
  コラム㉘ 数字で見る信金経営 136
第26話 再会 138
岐阜とインド

 第2幕 印度草双紙 143


第1話 インド暮らしスタート 144
第2話 テレビCMとお手伝いさん 147
第3話 大工、電気・水道・電話の修理屋さん 150
第4話 チャイとお母さんと戦争と 152
第5話 「お節介」という薬 155
第6話 じいちゃん、ばあちゃんと孫 159
第7話 村の暮らしと五つ星ホテル 162
第8話 流暢なインド英語 165
第9話 マダムの怒り 168
第10話 イシュワリさんの気づき 171
第11話 単年度で予算消化する「こちら側」の都合 175
第12話 マハラジャとピースサインと幸せ 178

 第3幕 日本のおばちゃんとして 183

途上国で働く三つの理由

第1話 途上国で身につけた「援助しない技術」 184
第2話 勝ち組・負け組・おまけ組 188
第3話 日本国憲法とおばちゃん 191

注記 200
あとがき 201

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