多元的・革新的な経済制度を求めるブラジルの挑戦に、新自由主義の弊害を乗り越える新たな開発の道を学ぶ。

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タイトル
社会自由主義国家
サブタイトル
ブラジルの「第三の道」
著者・編者・訳者
小池洋一著
発行年月日
2014年 3月 31日
定価
3,024円
ISBN
ISBN978-4-7948-0966-7 
判型
A5判上製
頁数
240ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-小池洋一(こいけ・よういち)
1948年生まれ。
立命館大学経済学部教授。
開発研究および地域研究(ラテン・アメリカ)専攻。
『地域経済はよみがえるか ラテン・アメリカの産業クラスターに学ぶ』(共編)、『現代ブラジル事典』(共同監修)、『アマゾン 保全と開発』(共著)など。

内 容

 日本を含めて世界は現在、金融危機、経済停滞、失業、貧困、格差、環境破壊など多くの困難に直面している。これらの問題の多くは、市場に過度な信頼を置いた新自由主義と、それを加速した経済自由化、グローバル化によって引き起こされたものである。近年では世界各地で、そうした困難を軽減するため、あるいは感情的な反動として、国家の経済への介入が強まっている。市場が不完全な制度であることは明らかだが、他方で国家の過度の、あるいは誤った介入が、非効率、不公平、モラル喪失を引き起こしうることもまた事実である。したがって現代においては、市場主義、国家主義のいずれをも超える開発モデルが求められていると言える。英国ブレア政権が目指した「第三の道」はその一つであるが、それは基本的には新自由主義であり、新自由主義が引き起こした問題を解決することはなかった。
 本書で検討するブラジルの「社会自由主義国家」は、《もう一つの「第三の道」》とも呼ぶべき開発モデルである。それは、イノベーションを通じて経済をグローバルな市場に統合する一方で、教育や社会保障などの社会政策および科学技術政策を国家が担う経済体制である。国家は引き続き社会政策・科学技術政策に要する資金の大半を支出するが、その実施は「社会組織」と呼ばれる非政府・非営利組織に委ねられる。行政に関しては財政規律、効率性、透明性などが重視され、また国民投票、参加型予算など市民の政治参加制度が導入されている。
 ブラジルでも経済自由化に伴い、市場の役割が強まったが、企業セクターは社会的責任を強く求められている。さらに、第三セクターとして協同組合、労働者自主管理企業などの連帯経済あるいは社会経済の創造と強化が進められている。「市場か国家か」という従来の二項対立的な議論を超えて、市場・国家・市民社会からなる多元的な経済制度を追求しているブラジルの挑戦は、開発途上国だけでなく、日本を含む先進国の経済政策、制度設計にも多くの示唆を与えると考える。(著者 小池 洋一)

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