毎日のように目にする「景気」という語の意味を厳密に探求し、現代資本主義経済の動向と将来の分析に役立てる画期的入門書。

978-4-7948-1048-9

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毎日のように目にする「景気」という語の意味を厳密に探求し、現代資本主義経済の動向と将来の分析に役立てる画期的入門書。

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タイトル
景気変動論
著者・編者・訳者
妹尾芳彦著
発行年月日
2016年 9月 8日
定価
2,808円
ISBN
ISBN978-4-7948-1048-9 C0033
判型
A5判並製
頁数
224ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-妹尾芳彦(せのお・よしひこ)
東京都在住の経済アナリスト。
1953年広島県生まれ。
大阪大学経済学部卒業。
専修大学大学院客員教授。
一般財団法人土地総合研究所研究顧問。
東洋大学・亜細亜大学・関東学院大学非常勤講師。
明治学院大学・麗澤大学講師。

内容

 「景気」という用語の語源は中世ヨーロッパに遡るという。すでにそのころから商業・事業の盛衰を表わす語として用いられていた。なるほど、それで景気変動とか景気循環を、英語ではbusiness cycle(事業の周期)というわけだ。景気という語はかなり人口に膾炙しており、自分はその意味を正しく理解していると考えている人も多いかもしれない。しかし実は、専門家とされる人たちも含め、「景気」が経済全体の活動水準を意味すると誤解していることが珍しくない。これには恐らく、ケインズ以降のマクロ経済学の影響もあるのだろう。
 この本はまず、景気という語の意味するところを正確に知ることを目的としている。これがすべての出発点となる。次に重要なメッセージは、標題が端的に示すように、景気というものが良くなったり悪くなったりしながら常に動いているということである。これには多くの人が意外感を抱くらしい。なかにはがっかりした顔をする人もいる。いまは良くても、後で必ず悪くなるという運命論的なニュアンスが嫌われるようだ。
 ところで景気変動論は、正統派経済学、つまりミクロ経済学とかマクロ経済学といった通常の経済学とは仲が良くない。正統派経済学は均衡を重んずる学問であり、その条件を研究するのが仕事ともいえる。一方景気変動論は、上下への変動が続いていくだけで、均衡に向かうとは考えない。
 しかし、もちろん共通点は存在する。それは市場機能の重視だ。資本主義経済とは、市場競争を核としたシステムであって、その基盤は個人や企業の自由な意思決定とされている。自由意思で市場に参加した者は誰しも、経済の良好なパフォーマンスを望むが、現実は厳しい。ほぼ必ず予測と実績の乖離が生じる。そこに景気変動の芽が生まれる。
 日々の景気観測に追われているだけでは、景気変動の本質は見失われる。景気変動には、経済にダイナミズムをもたらす性質があり、それは資本主義の優れた面でもある。つまり、景気変動は資本主義そのものの欠点ではなく、問題は行き過ぎた景気変動をもたらすメカニズムにあるのだ。
 「景気」に関心のある若い学徒や一般の読書家の方々にとって、本書が現代の景気変動の姿を見据え、経済の未来像を考えるための糧になれば望外の喜びである。
(せのお・よしひこ)

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