人口問題のメカニズムを文明史の中から解き明かし、地球環境問題の核心に迫る

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タイトル
文明の人口史
サブタイトル
人類の環境との衝突、一万年史
著者・編者・訳者
湯浅赳男著
発行年月日
1999年 4月 15日
定価
3,888円
ISBN
ISBN4-7948-0429-6 
判型
四六判上製
頁数
432ページ

内 容

「人の命は地球より重いと言われますが、百億人乗っかると、地球はどうなるでしょうか」。環境・人口・南北問題を統一的にとらえる歴史学の方法。
 21世紀は霊長類の一種、ヒトにとって正念場となるだろう。350万年前の東アフリカで数万の個体から始まった種社会が今後100年以内に100億を越えそうなのである。これでは何が何でも多すぎる。いろいろな文明が僅か6000年で地表を荒らしまくり、とくに20世紀の近代文明のアメリカ的段階が地球を破壊したばかりか、大気まで汚染してきたことは広く理解されようとしている。
 前著『環境と文明』では狩猟採集による生活ではこれ以上は繁殖できないところまできたヒトが、文明という人工世界を作って限界を突破したが、自然環境に大きな負担をかけることになったことを明らかにした。しかしそれ以上突っ込めなかったが、いくら環境に気くばりしても人口を野放しにしたらザルに水である。それ故、前著も文明と環境の関係に人口を一要因として組み入れ、綜合的に把握したいとしていたが、ようやく本書でこの約束を果たすことができたわけである。
 まず話は人口圧によって文明が生まれ、この文明のもとでヒトの種社会が民族に分断され、文明もいくつも生まれて、避けがたい折々の苦境を飢餓や戦乱による大量死でしのぐ歴史で始まる。これを避けるために新しい文明が形成され、しばらくは一切がめでたく解決されたかに見えるが、もっともっと深刻な限界にぶつかっているのが近代文明の現状である。これが本書の立場である。もちろん人類も状況に適用しようと努力はしている。ひとまず死亡率を低下させて人口を爆発させたが、生活の安定とともに出産率も低下する「人口転換」がすでに近代文明の中心部では終了して、人口は定常化に向かっている。しかし、この傾向には周辺部ではかなりの遅れがあることが怖ろしい現実なのである。
 これを解決することこそが21世紀の人類の第一の課題であろう。そのために必要なことは人間が自制を知ることだと思うが、これを理論によって裏付けるためには、人類の欲望のすべてを最高のものとして、無条件に尊重するという思想を再検討せねばなるまい。その際、数万人の種社会の成立から地球が人類をこれ以上養えなくなるまでのヒトの歴史を正視することが役立つことだろう。

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