企業のグローバル化と対峙してさまざまな攻防を繰り広げるローカルな市場のダイナミズム

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関連ワード
アジア市場のコンテキスト 東南アジア編
タイトル
サブタイトル
グローバリゼーションの現場から
著者・編者・訳者
川端基夫著
発行年月日
2005年 10月 14日
定価
2,420円
ISBN
ISBN4-7948-0677-9 
判型
四六判上製
頁数
268ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-川端基夫(かわばた・もとお)
1956年生まれ。
大阪市立大学大学院修了、博士(経済学)。
関西学院大学商学部教授。
著書に『アジア市場幻想論』『小売業の海外進出と戦略』(以上、新評論)、『アジア発グローバル小売競争』(共著、日経)など。

内 容


 グローバリゼーションは、同質化を推し進め、ローカルなものを押し潰し、多くの弊害をもたらすというのが大方の認識である。しかし、この認識にはグローバルなものが「強者」でローカルなものが「弱者」であるという暗黙の前提が潜む。ローカルなものは弱い存在であるから、グローバル企業がもたらす同質化の波に瞬く間に飲み込まれていく、というイメージをもつ人々も多い。
 筆者は、この10年余りの間、グローバル化の現場である「市場としてのアジア」を歩き多くのものを見てきた。ところが、そこで見た現実は、意外にもローカルな市場の「根強さ」であり「したたかさ」であった。
 アジア市場には、80年代から多くの日本の小売業が進出してきたが、市場の拡大とは裏腹に、その多くが撤退してしまっている。また、90年代の後半からは消費財メーカーがアジア市場に本格参入しているが、所得が増大し消費スタイルも西欧化しつつあるにも関わらず、商品が売れない、利益を出せないとするメーカーが多くみられる。さらに、グローバル化に成功したかのように見える企業でも、よく見るとローカルな市場の側に「同化」されていたり、まんまと取り込まれていたりするケースも見られるのである。つまり、ローカルな市場は企業が考えるほど甘くはなく、また反グローバリゼーション論者たちが考えるほど弱くもない。要するに、ローカルな市場は自律的な固有のダイナミズムを有しており、企業のグローバル化と対峙してさまざまな攻防を繰り広げているのである。このローカルな市場のダイナミズムを、本書では「市場の脈絡(コンテキスト)」と表現している。
 本書は、東南アジアの6つの市場をとりあげ、それぞれの市場に備わる脈絡(コンテキスト)を探り、それと企業との攻防を描くことで、アジア市場を読み解く糸口を提示しようとする試みである。本書により、アジア市場の「したたかさ」を味わって欲しい。


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