化石が照らし出す科学の想像力と解釈の歴史

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関連ワード
マンモスの運命
タイトル
サブタイトル
化石ゾウが語る古生物学の歴史
著者・編者・訳者
クローディーヌ・コーエン著
 
菅谷 暁訳
発行年月日
2003年 4月 10日
定価
4,180円
ISBN
ISBN4-7948-0593-4 
判型
A5判
頁数
384ページ

著者・編者・訳者紹介

クローディーヌ・コーエン(Claudine Cohen)
哲学、文学、生物学と地質学を修めたのち、『テリアメドの起源、啓蒙黎明期における地球の理論と自然史』 (Vrin/EHESSから近刊の予定) によって博士号を取得、現在は パリの社会科学高等研究院助教授の職にあり、 「生命と地球についての科学史」を専門としている。著作はほかに古生物学者ジャン=ジャック・ユブランとの共著 『ブーシェ・ド・ペルト、先史学のロマン的起源』(1989)、『起源の人間、先史学の知と虚構』(1999)がある。なお、本書はフランスでロベルヴァル賞と ジャン・ロスタン賞を受賞している。

内 容

 これはマンモスについての本ではない。
 これから皆さんがお読みになるのは、いまから約40万年前に登場し、およそ1万年前かおそらくはもっと最近に絶滅した、長い褐色の毛に覆われ、どっしりとした体をし、螺旋状の重い牙を持つ巨大な哺乳類の悲壮な物語ではない。
 本書においてマンモスは口実、より正確にいえば支柱でしかない。真の主題は古生物学の歴史、化石にもとづいて作られた解釈の体系の歴史である。
 本書のめざすところは3世紀以上もの間、この化石が伝説や寓話や、地球の歴史と生命の進化をめぐる物語の中に、どのように封入されてきたかの研究である。古生物学の歴史が、風変わりなある事物に対するまなざしの変化とともに初めて語られるだろう。その事物とは、シベリアの原住民が彼らの言葉で「マモント」と呼んだもの、西欧の学者が彼らの言葉で「形象石」「巨人の骨」「化石一角獣」、エレファス・プリミゲニウス、マンムトゥス・メリディオナリス、コルンビ、インペラトールなどと名付けたものそのものやその巨大な遺物(歯や骨や冷凍肉)だが、このような種々の名称が存在していたという事実は、知の歴史の流れの中に、さまざまな論証の仕方や、さまざまな思考と解釈の体系があったことを示唆している。本書で問題とするのは、地中からとりだされたこの奇妙な遺物が、さまざまな時代と場所、人間の生活と文化においてどのような意味を持っていたかということである。

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