西洋近代思想を「内在的」に解明し、「相互理解と共生」に到達する「開かれた歴史主義」を提唱

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タイトル
西洋近代の「普遍性」を問う
サブタイトル
「開かれた歴史主義」のための研究ノート
著者・編者・訳者
吹田尚一著
発行年月日
2006年 4月 20日
定価
4,104円
ISBN
ISBN4-7948-0675-2 
判型
A5判上製
頁数
368ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-吹田尚一(すいた・しょういち)
三菱総合研究所常務、敬愛大学国際学部教授を歴任。
日本経済、産業・企業の研究・調査に従事し、また日本経済発展論、日本現代史を講義。
シンクタンクの経験から経済のみでなく政治・思想など幅広い課題を実践的に掘り下げてきた。

内 容



 20世紀末における冷戦終焉、社会主義国家の消滅、アジア・中国の台頭、世界の都市を襲うテロなどの大事件は、われわれに西洋近代という時代の意味を根本的に見直すことを求めている。
 従来の西洋批判は、外圧的であったように思われる。その世界支配をつくりあげている力の総体とその背後にある思想を内在的に批判し、これを超える試みはなかった。西洋近代思想の影響力は、非西洋世界では普遍主義として受けとられた。したがって何よりもその「普遍性」について吟味し直すことが必要だ。すなわち西洋近代の普遍性とは、歴史は自由という理念が実現を求めて発展するものであるとか、自由や人権は人間の及ばない自然の法によってつくられたものであり、絶対的な価値を持つとか、科学技術は西洋の独占的産物であるとか、資本主義的な発展は自動的に民主主義に結びつくとかいった思想によって形づくられており、そのような道を歩まず、また実現していない社会は劣っている、遅れているとするのである。この前提のもとで西洋の文明や自由や民主主義を世界に広めるのが西洋の使命であり、このような道を選択しない、受け容れないのは間違いである、という主張が導き出される。
 しかし、人間の世界で、どの時代、どの場所においても正しいなどという思想は存在するのか。またそうした思想を絶対視し、人類はその矛盾を最終的に解決しうる社会に到達するのだ、と考えることは、本当にわれわれを救うのであろうか。さらに今、そのような思想を対外的に拡張伝播しようとすることが、大きな反発を生んでいるのではないか。20世紀が「革命と流血の世紀」であったことは、このような思想が破綻したことを証明しているのではないか。西洋近代に対するこのような根本的な批判を行うためには、内外の碩学が検証した深い森を探索しなければならない。
 本書では、トレルチ、クロ−チェ、川勝義雄、和辻哲郎、E.A.バ−ト、ニ−ダム、バ−リン、タルモン、モ−ゲンソ−、ヤスパ−ス、ロ−ティなどの見解がレビュ−し直される。この結果、単に西洋を相対化するにとどまらず、歴史や社会についての基本的な認識スタンスとして、普遍主義に代って「開かれた歴史主義」を提唱したい。歴史主義の再興にによってそれぞれの文化の価値を対等に認め、民族の相互理解と共生を確立する基盤を求め、「時空を超えて妥当する思想」「最終的な解決」といった普遍主義を払拭するとともに、従来の歴史主義が個別・固体を重視するあまり閉鎖的になり、受身的な思想にとどまっていることを乗りこえたいのである。


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