地球環境問題を市場に委ねてはならない! 「京都議定書」を改めて問う待望の増補新版。

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増補新版「京都議定書」再考!
タイトル
サブタイトル
温暖化問題を上場させた“市場主義”条約
著者・編者・訳者
江澤誠著
発行年月日
2005年 12月 14日
定価
3,190円
ISBN
ISBN4-7948-0686-8 
判型
四六判上製
頁数
352ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-江澤誠(えざわ・まこと)
1949年千葉県大多喜町生まれ。
現在、全国青色申告会総連合調査役。
地球温暖化問題、環境政治学、国際関係論が専門。
著書『欲望する環境市場』(本書旧版)、
『環境保全費用を誰が負担するのか?地球温暖化防止のシナリオ』(中央経済社)他。

内 容



 1997年に気候変動に関する国際連合枠組条約(地球温暖化防止条約)の第3回締約国会議(COP3)が京都で開かれ、地球温暖化の原因とされるCO2(二酸化炭素)の具体的な削減値や削減方法を盛り込んだ京都議定書が採択された。2000年に上梓した旧版『欲望する環境市場—地球温暖化防止条約では地球は救えない』は、京都議定書を中心とした地球温暖化問題と市場との関係を問うたものである。
 京都議定書は、地球温暖化の原因はCO2であるとするIPCC(気候変動に関する政府間パネル、1988年設立)の見解を基にしており、「環境保護派」の人々は、削減率などに不満はあるものの、人類を救う第一歩として評価した。しかし、京都議定書はたいそう危ういものに思われた。旧版は京都議定書のその危険性に言及した疑義の書であった。京都議定書では、CO2の削減方法として、排出枠取引(*)など、市場を通してのCO2売買が認められたが、これは言葉を換えていえば、CO2を上場したことであり、地球環境問題が市場の論理で動いていくことを示していた。しかし、はたして気候変動などの環境問題を、市場が解決できるのであろうか。今日のパン代にも困る途上国につけ込んで、先進国が排出枠を安く買いたたくことも考えられよう。その時、途上国は石油などの安定的な消費から見放され、貧困との間で負の連鎖に陥らないとも限らない。環境問題を市場に委ねることには、大きな危険が伴うのである。
 旧版を世に問うて以来、世の中の市場主義への流れはますます加速している。それに抗する意味で、旧版以後の5年間に起こった気候変動(地球温暖化)と市場に関わる主な出来事を書き加え、増補新版を出すことにした。京都議定書は発効したが、京都議定書の採択と同様に、それが発効したからといって喜べるものでもない。むしろ、CO2の上場と売買は、京都議定書の発効によって正当性を与えられ、今後ますます市場の攻勢は強まるであろう。増補新版には、京都議定書を問い直すための有益な情報を盛り込んである。


*排出枠取引—CO2等の汚染物質に関し、あらかじめ排出してもいい枠を国・地域・企業等に配分し(初期配分という)、排出枠の不足している国・地域・企業は余っている国・地域・企業からその枠を購入して削減目標を達成するメカニズム。


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